多摩動物公園ではライオン園の工事が進められています。昨年(2019年)12月に仮設放飼場を撤去し、ライオンが日中を過ごすとともに、中をライオンバスが走る放飼場の工事が最終段階を迎えています。放飼場のレイアウトもだいぶ見えてきました。先日、監視用のライオンジープで新放飼場の道を実際に走ってみました。
ライオン園、2020年5月5日の状況
このように完成に向けて急ピッチに工事が進んでいますが、しかし完成したらすぐにライオン園を一般公開し、みなさんを乗せたライオンバスが運行できるわけではありません。まず、新しい放飼場にライオンを出して慣れさせ、飼育係も新環境での飼育管理方法を確認します。
また、ライオンバスの運行をおこなうのは園の職員ではなく、業務委託先の方々です。委託先の担当者もライオンバス駅舎の利用やバス走行のための事前訓練をおこないますし、ライオンがいる中でバスを走らせるためには、飼育係との連携を組み込んだ訓練等も必要となってきます。
ライオン園は、安全に楽しんでいただける準備が整いしだいオープンします。工事完了後もしばらくお待ちください。夏以降、オープン準備のためにライオンが放飼場に出ていることもあります。アフリカ園にお越しの際は、新しいライオン園をのぞいてみてください。
現在多摩動物公園ではライオンを13頭飼育しています。高齢の2頭は体力面を考慮して、広い放飼場には出さず、獣舎の裏にあるパドックのような場所で飼育しています。残りのオス2頭、メス9頭、あわせて11頭を群れのメンバーとして飼育しています(写真)。
サファリ橋下のライオンたち
メス9頭に関しては、2016年3月にライオンバスが休止したときのメスのメンバーそのままです。工事期間中は飼育管理のためのスペースが制限されていたため積極的な繁殖計画は進めませんでした。群れの中では5歳前後が一番「勢い」があるため、高齢化した群れにはパワーバランスの変化が生じています。また、高齢化にともないオスを交代させたことなどにより、2016年当時のような立派なオス3頭と複数のメスの群れ展示の実現はむずかしいと思われます。また現在、園には種オスがいないため、繁殖もさせられない状況です。
今回の工事が完了し、ライオン園が再開への準備を着実に進めていくとともに、群れの再構築にも力を入れていきます。
〔多摩動物公園北園飼育展示係 八坂圭悟〕
(2020年05月15日)