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アムールトラ「イチ」の来園と先住トラたちの反応
 └─2020/01/31

 昨年(2019年)12月18日に山口県周南市の徳山動物園からアムールトラのメス「イチ」が来園しました(来園のお知らせ)。病院での検疫を終え、トラ舎へ移動したのは12月29日でした。2006年に多摩で生まれた13歳のメス「シズカ」、2017年1月にドイツから来た4歳のオス「アルチョム」、そして、シズカとアルチョムの間に生まれ、もうすぐ1歳になるショウヘイがトラ舎の先住者です。新しく来たイチにみな興味津々でしたが、反応はさまざまです。


トラ舎にきたばかりのイチ

シズカの反応

 シズカは9年連れ添った娘の「アイ」が昨年11月に九州の九州自然動物公園に行ってしまったこともあり(お知らせ)、遊び相手がほしかったようで、イチに対してフェンス越しにガーガーと吠える手荒い歓迎を見せました。イチも最初は怯えながら本気で怒るように吠え返していましたが、やがてシズカのアプローチが攻撃的な意味合いを含んでいないと知ると、フェンス越しに飛びかかってじゃれるような動きを見せ、遊ぶようになりました。シズカとアイもよくフェンス越しにガーガーと吠えながら右へ左へと俊敏に移動し、まるで鏡に写っているかのように同じ速度で激しい動きを見せていましたが、イチはまだその動きについていけていません。

アルチョムの反応

 イチと同い年のアルチョムは臆病な性格なので、しばらくの間、おたがいに顔を合わせると威嚇し合っていました。ようやく慣れてきたのは2020年1月中旬あたりです。アルチョムは強く意識しているくせに、いざ顔を合わせると遠くからフェンスに飛びついてイチをからかったり、フェンス越しにいきなり立ち上がって驚かせたり、まるで気になる女の子にちょっかいを出す小学生のようなアプローチです。


アルチョム(左)とイチ

ショウヘイの反応

 一番幼いショウヘイが一番紳士的でした。人工哺育で育った個体ですが、なるべく人慣れしないように育てた甲斐もあり、おとなのトラに対しても物怖じせず、積極的にコミュニケーションを取ろうとします。環境に慣れないイチが威嚇してきても、鼻を鳴らすトラの挨拶を穏やかなトーンで繰り返しながらフェンスに顔を擦りつけます。その結果、ショウヘイはイチと一晩で打ち解けることができました。父親のアルチョムにもこのガールハント術を見習ってもらいたいものです。


「モート放飼場」に初めて出たイチ

 イチは1月17日に展示場デビューを果たしました。屋外では予想以上に活動的で、好奇心旺盛な姿を見せてくれました。新しい環境にも物怖じすることなく、人にも寄っていきます。表情豊かで動きにも愛嬌のあるイチ。ぜひ多摩動物公園までお越しください。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 熊谷岳〕

(2020年01月31日)



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