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トキ舎が繁殖ラッシュ、にぎやかです
 └─2019/07/12

 多摩動物公園のトキ舎では、3つのケージで8種類の外国産のトキを飼育しています。現在、そのうちの4種類のトキが孵化し、育っています。

 トキ舎は斜面に位置しています。坂をのぼって一番手前のケージでは、2019年6月14日にショウジョウトキが1羽孵化しました。親の綺麗な赤色の羽毛とは異なり、ひなは真っ黒な羽毛です。初めて見る方は驚かれるかもしれません。幼鳥の真っ黒い姿は、この時期にしか見られない貴重な姿です。

 中央のケージではホオアカトキとアンデスブロンズトキのひなが見られます。ホオアカトキは4月22日、飼育舎に向かって右手に取り付けられた巣箱で孵化しました。この日、状況確認のために巣箱の中を覗いてみたところ、2羽が孵化していたのです。トキの成長は早く、約1か月後の5月28日には1羽がすでに巣箱から飛び出して地上を歩いていました。成鳥と比べるとまだ顔も赤くなく、どことなくあどけなさが残ってはいますが、もう立派に飛翔することができます。


ホオアカトキの親子

 アンデスブロンズトキは5月23日、観覧スペースに一番近い、向かって左側の巣台で孵化しました。アンデスブロンズトキの自然繁殖は難しく、産卵するペアこそ多いものの、現在ひなは1羽しか孵化していません。このひなも巣台から一度落ちてしまい、飼育係が手で巣台に戻しましたが、幸いケガはありませんでした。その後は巣台から落ちることもなく、元気にすくすくと成長し、無事巣立ちました。


アンデスブロンズトキの親子

 坂を上って一番奥のケージではシロトキが6月初旬に3羽孵化しました。木の間にいることが多く、姿は見えづらいかもしれません。でも、耳をすまして聞いてみると、ひなが親にえさをねだる甲高い声が聞こえてくることがあります。シロトキのひなのこの声はとてもよく通るので、他のトキ類のひなに比べて聞き分けやすいと思います。姿を見ることは難しいのですが、ひなの特徴ある甲高い声でその存在を確かめることができます。


シロトキの親子

 たくさんのひなが孵化し、トキ舎は賑やかになってきました。巣立ったばかりのまだあどけなさの残ったひなの姿を見たり、親にえさをねだる特有の鳴き声を聞いたりできるのも、繁殖期のこの時期だけです。ぜひこの機会を逃すことなく、多摩動物公園に足をお運びください。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 田中美晴〕

(2019年07月12日)


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