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オランウータン「キキ」の子「リキ」と「ロキ」、すくすく成長中!
 └─2019/06/07

 ボルネオオランウータンのメス「キキ」は現在18歳。6歳のころ、インドネシアのタマンサファリから多摩動物公園にやってきました。当時はメスの「ジプシー」(2017年死亡)によく面倒を見てもらっており、好奇心の高さや賢さはジプシーゆずりです。キキはまだ若い個体ですが、「ボルネオ」(34歳)とのあいだに2頭のオスの子を出産しています。それが「リキ」(6歳6か月)と「ロキ」(0歳11か月)です。


弟ロキとじゃれあう兄のリキ

 2頭は今、育ち盛りです。弟のロキが産まれてリキは急に自立心が芽生えてきたのか、以前は母親から離れるとすぐに鳴き声を上げていたのに、今は単独で移動し、展示場にいる母親を残して部屋に戻ることもあります。

 母親キキの近くにあるえさにリキが手を出すと強めに怒られることも増えたため、2019年4月に入って部屋を別々にすることにしました。自立心が芽生えただけでなく、最近はメスの「ジュリー」(53歳)が優しいのをいいことに、少し無理やりな状態で交尾の練習なども始めています。着々と大人になってはいると言えますが、ジュリーが交尾の練習中に離れて行くとリキはピーピー鳴いて呼び止めとめようとします。その姿には子どもらしさがまだ残っています。

 ロキは2019年6月29日で1歳を迎えます。以前の記事でもご紹介しましたが、生まれたばかりのロキは体が小さく、母乳を吸う回数が少ない個体でした。そこで補助的にヒト用のミルクを11月から与えています。今は1回につき120mlを3回与えており、ミルクも消化のしやすいものを使用しています。さらに、4月からリンゴやバナナ、煮芋などの固形物を加熱し、ペースト状にしたものを与えています。加熱すると消化吸収がよくなり、ペースト状なので飲み込むのも早くなりました。


口に何でも入れるロキ(左)と母親キキ

 乳歯も生え揃ってきており、先日上の第2切歯が生えてきて、残るは犬歯だけとなりました。ただし、通常ならもう犬歯が生えてきてもよい時期なので、全体的に2か月ほど遅れているようです。歯がそろってきたロキは、落ちているものを何でも口に入れたがります。変なものを食べるなよ?と心配させられるのは人の子とさほど変わりません。

 しかし、人の子と違ってオランウータンには大腿骨頭靭帯(だいたいこっとうじんたい)と呼ばれる靱帯がない、あるいは成長につれて消失するらしく、股関節の動きに制限がほとんどありません。そのため、ハイハイしたり歩いたりするよりも早く、両手両足を使ってよじ登ったり、腕渡りができるようになります。

 最近のロキは、天井の格子に手足でつかまって移動したり、2本の消防ホースをつかんで5メートルもの高さにまで登ったりできるようになりました。初めは母親にしがみつくのが精一杯だったので、担当者にとっても嬉しい成長です。

 これから大人の階段を昇るリキ。そして、できることがだんだん増えてくるロキ。キキの元気な息子たちの成長を見にぜひ多摩動物公園へお越しください。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 野村星矢〕

(2019年06月07日)


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