冬はお布団が恋しい季節。朝、寒くてお布団から出られない方も多いのではないのでしょうか。この時期、寒さに弱いキリンは夜になると暖かいキリン舎で過ごしますが、朝は外へ出ることをしぶる個体がいます。キリン舎での冬対策をご紹介します。
| | |
新しいワラの山 | 新しいワラの上に座るキリンたち |
対策その1:キリン舎のコンクリート製の床は冬は底冷えするのでワラを敷きます。毎週水曜日に汚れたワラを回収し、新しいものと交換します。その際、室内の中央にワラの山ができるよう係員一同で準備しますが、キリンたちが室内を歩き回るので、翌日になるともうワラは室内全体に広がっています。
対策その2:ボイラーで室温を温めています。多摩動物公園のキリン舎には灯油ボイラーが設置されており、キリン舎内に張り巡らせたパイプで温水を循環させています。送風ファンを動かせば温風を出すこともできます。
また、背の高いキリン舎ですから室内の高さは6メートルもあります。すると温かい空気は上に行ってしまうので、天井に取り付けた扇風機で温風を撹拌しています。そのおかげで低い場所でも15℃以下になることはありません。
冬場は室内外の気温差が血圧の高いキリンにとって負担になります。負担を軽くするため、外に出す前に灯油ボイラーや送風ファンなど、暖房設備を停止し、室内に外気を入れます。室温を徐々に下げて温度差をなくすようにしてから外に出すのです。外気温との差が小さくなってくると、キリンたちもワラから立ち上がり、扉の前に集まって放飼場に出る準備が整います。
なお、気温が低い日はキリンを外に出す時間が短くなり、公開できないときもあります。寒さに弱いキリンのための対処ですので、ご理解くださいますようお願いいたします。
再整備工事が進み、放飼場に仕切りが立てられたサバンナエリア
キリンのいるサバンナエリアは現在、キリン舎の再整備工事が本格的に始まりました。キリンの放飼場にも仕切りが立てられ、約半分の広さになりました。当初、子どもは驚いて放飼場内を走り回っていましたが、おとなの個体が落ち着いている影響か、徐々にふだんどおりのようすに戻りました。放飼場が狭くなっても、子どもたちは元気よく走る姿を見せてくれます。キリンともども、ご来園をお待ちしております。
〔多摩動物公園北園飼育展示係 土方美咲〕
(2019年02月22日)