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カモ池でツクシガモが育ちました
 └─2018/12/14

 多摩動物公園の「モグラのいえ」には多くの方がいらっしゃいますが、「モグラのいえ」への道の左側に広がっているのが、通称「カモ池」です。

 カモ池では日本国内で観察することができるカモのなかまを、7種35羽飼育しています(2018年12月11日現在)。そのうちアカハシハジロとツクシガモはここ数年、毎年産卵しています。

 カモ池はフェンスとネットで囲われているのですが、自然が豊かな園内にはヘビも生息し、ネットの目をくぐって侵入してしまう可能性があります。そこでこれまで産卵期には巣箱を設置し、巣箱の中を毎日確認して、卵があったら孵卵器に移して人工的に孵化させていました。孵化後、おとなと同じ大きさになるまで人の手で育ててから、ふたたびカモ池に戻していたのです。

 しかし、親鳥に子育てを経験してほしいという思いと、ひなの成長のようすを来園者の方々に見ていただきたいという思いから、今シーズンは卵を巣から採り上げず、ようすを見ることにしました。

 ところが4月頃から次々と巣箱に卵が増えてきたものの、なかなか卵を抱いてくれる親鳥が現れません。親鳥たちが抱卵してひなをかえし、育ててくれることを期待したのですが、難しいことなのかも……と思った5月末。

羽毛に包まれた卵
両親にしっかりガードされる “パンダ模様”のひな

 巣箱の中でメスのツクシガモが伏せていました。そうです、抱卵していたのです。確認できた9個の卵のうち、最終的には3個を温め続けました。そして孵化が近くづいたころ、オス親が巣箱の前で“仁王立ち”になり、他のカモが近づくとものすごい勢いで追い払う行動が見られるようになりました。巣箱内のひなの孵化を感じていたのでしょう。


おとなの羽毛に変化しつつあるひなたち

 この“お父さんスイッチ”が入った翌日、メス親が巣箱から3羽のひなを連れて出てきました。ツクシガモはもともと気の強い種ですが、子育てを始めたペアはさらに気が強くなりました。両親に守られて3羽は無事に育ち、今ではおとなと見分けがつかないほどに成長しました。

 池を囲っているネットを10月初めに張り替え、今までよりカモたちが観察しやすくなりました。「モグラのいえ」のふもとでくらすカモたちともども、みなさんが来園するのをお待ちしています。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 齋藤麻里子〕

(2018年12月14日)


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