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トナカイの子「シーク」の体重測定
 └─2018/08/10

 2018年4月19日、多摩動物公園でトナカイのオスが誕生しました。「飼育の日」に産まれたので、「シーク」と命名しました。母親「ノンノ」は5年連続で出産しているベテランのお母さんです。

 子育て上手なノンノですが、残念ながら去年と一昨年、子が小さいうちに突然死亡してしまいました。私がトナカイの担当になったのは一昨年からですが、前兆に気づくことができず、たいへん悔しい思いをしました。

 ノンノは今年も元気な子を出産しましたが、生後1週間ほど経つと、子の呼吸がときどき乱れることがあり、まさか今年も……と不安に駆られました。2回ほど抗生物質を注射した後、状態は幸いよくなりましたが、過去2年のことを考えるとまだまだ油断はできません。

生後8日のシーク
生後87日、おからを食べさせながらシークの体重を計る

 動物は元気に動き回っていても、何か体調の不良を隠している可能性もあります。そこで今年は見た目や行動だけでなく、体重を計って健康の指標の一つにすることにしました。

 初めのうちは人が子を抱え、体重計に乗って重さを計っていました。しかし、この方法は動物にストレスがかかるとともに、子が大きくなるにつれ抱えるのも大変になります。また、定期的におこなうためには、極力時間と人手をかけずに計測する方法が必要です。

 そこで、ふだんえさの重さを計っている秤に板を乗せ、そこに誘導して体重測定をすることにしました。子が草を食べ始める生後3週間くらいからチャレンジ開始です。当初、親と離れた子はそわそわしたり、板にうまく乗れなかったりして何度か失敗が続きました。親から離すタイミングや、秤の場所、板のサイズやえさの種類等、いろいろ試行錯誤した結果、生後1か月になってようやく成功しました。

 子どもの順応力は素晴らしく、その後も毎週計測を続けると、1か月後には1分とかからず体重測定が可能になりました。


 過度に人馴れしてしまわないよう、体重が30キロになったら計測を終えるつもりでしたが、生後94日を迎えた7月22日、めでたく30キロを突破しました。結果を見るときれいな右肩上がりのグラフができあがり、順調に育っていることがわかります。このデータは、来年以降生まれてくる子どもについても、健康状態を調べる指標として活用していきます。

 順調に、立派に育っているトナカイのシーク。暑い日は外に出ていないこともありますが、多摩動物公園にぜひ会いに来てください。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 伊藤達也〕

(2018年08月10日)


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