ニュース
フクロギツネ「コーン」の誕生
 └─2018/06/29

 多摩動物公園コアラ館の小獣展示室では、フクロギツネをオス2頭、メス2頭、計4頭飼育展示しています。

 フクロギツネは、オーストラリア本土やタスマニア島に生息している樹上性の動物です。ふさふさの毛で覆われた尻尾は、よく見ると裏側だけ毛が生えておらず、枝に巻きつけて身体を支えたり、ぶら下がったりして、樹上での生活にとても役立ちます。食性は雑食で、おもに木の葉や木の実、そのほか果物や昆虫などを食べます。多摩動物公園では、コアラのえさとなるユーカリも与えています。カンガルーやコアラと同じ有袋類であるフクロギツネの母親は、未熟な状態で生まれた子を数か月ものあいだ「育児嚢」と呼ばれる袋の中で育てます。

 2017年11月28日、母親エシャロットの袋が少し膨らんでおり、中でもぞもぞと何かが動いているのが見てわかりました。どうやら、袋に子どもがいるようです。エシャロットは多摩で生まれ、今回が初めての出産です(関連ニュース「フクロギツネ、子育て中」)。

 その後、袋はさらに膨らみ、2018年2月ごろには子どもの尻尾や肢の先が袋からひょこっと出ていることがありました。順調に成長しているようです。2月18日の朝、エシャロットが巣箱の上に座るようにして、しきりに巣箱の中を気にしていました。中を覗くと子どもがいました。出袋(しゅったい)です。多摩動物公園では、フクロギツネやカンガルーについて、初めて母親の袋から全身が出た日(出袋日)を誕生日として記録しています。

 育児放棄かと一瞬不安になりましたが、母親エシャロットは袋に子をしっかりと戻してやっていました。


出袋したばかりのコーン

 現在飼育しているフクロギツネは母親エシャロットのほかに、オスの「ポテト」、メスの「キャロット」と、すべて野菜の英名で統一していることから、今回生まれた子は「コーン」と名づけました。性別はオスです。

2月下旬になると、子は母親エシャロットの背中に乗って巣箱から出てくるようになり、今では背中から降りていっしょにえさを食べているようすが見られます。

エシャロットの背中に乗っているコーン
出袋して約2か月後(左:コーン、右:エシャロット)

 5月の体重測定では2キロを超えましたが、まだまだ育ち盛りです。ときどき室内を探索したり、ユーカリを食べたり、活発に行動する姿も見られるようになりましたが、それでも母親のそばを離れると不安そうにしています。コーンが独り立ちして、無事に成長することを楽しみにしています。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 星 純蘭〕

(2018年06月29日)


ページトップへ