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ナナフシの♂♀事情とコブナナフシのデビュー
 └─2018/02/09

 2月14日はバレンタインデー。みなさんのご予定はいかがでしょうか? 友人へ、または自分へのごほうびとして──チョコを買う理由は人それぞれの昨今ですが、今回はバレンタインデーにちなんでナナフシの♂♀事情をお話しします。

 多摩動物公園の昆虫園では7種のさまざまなナナフシを展示していますが、ナナフシのなかまはメスだけで繁殖できることが知られています。オスと交尾しなくても、メスが産んだ卵から幼虫が孵化し、その後も世代を繋いでいくことができるのです。


ツダナナフシ

 実際、筆者が担当しているツダナナフシは、飼育していて一度もオスが確認されたことはありません。それでも筆者が担当になる前から、ずっと飼育を続けているのです。このことをお話しすると、ショックを受けたり、寂しそうになさったりする男性もいらっしゃいます……。

 しかし、オスが必要ないというわけではないと考えられます。多摩動物公園ではオスを見たことのないツダナナフシですが、ナナフシにオスが確認された例はあるのです。たとえば昆虫園本館1階のふれあいコーナーで展示しているオキナワナナフシは、オスとメスの個体数に差は感じられませんし、交尾もふつうに見られます。

コブナナフシ
交尾中のコブナナフシ

 そして今回ご紹介したいのは、南西諸島を中心に生息しているコブナナフシです。このたび昆虫生態園の南西諸島コーナーにデビューしました。コブナナフシは夜行性で、日中はほとんど動きません。しかしよく見ると、たいてい2頭がくっついたままじっとしているのです。そして必ず、薄茶色で大柄な個体の上に濃い茶色の小柄な個体が乗っています。

 じつはこれ、下にいるのがメス、上に乗っているのがオスです。だた乗っているだけだったり、交尾をしていたりしますが、とにかくオスはメスから離れません。「仲がよい」という感情を当てはめてよいのかはわかりませんが、本当にいつもいっしょにいるため、オスが1頭でいると心配してしまうくらいです。ほほえましくも見えるその姿を昆虫園でぜひご覧ください。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 古川紗織〕

(2018年02月09日)


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