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新入りチンパンジー!「ケイ」をご紹介します
 └─2018/01/19

 昨年(2017年)、多摩動物公園に2頭のチンパンジーがやってきました(ニュース)。その後の記事で、そのうちの1頭「サクラ」(メス、8歳)が群れに加わる際のようすをお伝えしました。今回は、もう1頭の新入りチンパンジー「ケイ」(メス、37歳)をご紹介します。

最近のお気に入り、キャベツを食べるケイ
室内でくつろぐケイ(手前)とサクラ

 ケイは2017年6月6日、東武動物公園から来園しました。人工哺育で育ったケイは、他のチンパンジーと過ごす時間が短かったため、チンパンジーどうしの関わり方を学ぶ機会がほとんどありませんでした。チンパンジーは群れでくらす動物なので、群れの中でのルールがわからなければ仲間として認めてもらえません。

 チンパンジーは、相手にお尻を見せたり、抱き合ったり、キスをしたりする「挨拶」の行動を見せます。しかしケイを多摩のチンパンジーたちに会わせてみると、やはり群れに入るのに必要な挨拶行動がうまくできませんでした。そのためお互い攻撃的になり、ケイはしだいに他のチンパンジーたちを怖がるようになってしまったのです。このままでは、なかよくなるどころか、溝が深まるばかりです。

 そこで、まずは自分以外のチンパンジーと過ごすことに慣れてもらうために、ケイには「デッキー」(オス、40歳)と同居してもらうことにしました。デッキーは以前から新しく多摩に来たチンパンジーに対して友好的に接する個体です。最初は体の大きなデッキーにおびえているようでしたが、デッキーが攻撃的でないことがわかるとケイも心を開いたのか、おたがいに毛づくろいをするほどの関係になりました。

 デッキーといっしょに過ごせるようになったので、次にサクラとの同居も試みました。サクラはケイよりも約4か月早く2017年2月に来園し、当時は群れに入るためのさまざまな準備最中でした。

 ケイはサクラから挨拶を受けると、サクラがまだ子どもだということもあり、あまりおびえることなくサクラを受け入れます。最初は部屋の隅に座って動かなかったケイも、サクラにつられて部屋の中を歩き回ったり寝転んだりするようになりました。

 来園したばかりの頃と比べると、今のケイは他のチンパンジーの存在にも慣れたようです。外の運動場で他のチンパンジーが騒いでいても、落ち着いて過ごせるようになってきました。他のチンパンジーとは異なる状況下で年を重ねてきたケイにとって、今の環境は試練かもしれません。ケイの負担にならないよう、多摩の群れの仲間とはゆっくりとお見合いや同居を進めていく予定です。みなさんの前に登場するのはまだしばらく先になりますが、どうぞあたたかく見守ってください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 高岡智子〕

(2018年01月19日)


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