多摩動物公園の昆虫生態園大温室ではさまざまな植物を育てています。一部はチョウの食草(幼虫のえさとなる植物)として使用していますが、採卵展示のわきに植えてあるクワ科のベンジャミンもその一つです。
ベンジャミンは葉がとても美しい緑色をしています。観葉植物としてみなさんのそばにあるかもしれません。このベンジャミンは、生態園の中で舞い飛ぶツマムラサキマダラとイシガケチョウの幼虫の食草になるのです。
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イシガケチョウの幼虫 | ツマムラサキマダラの幼虫 |
今年(2017年)4月、日差しが強くなり、生態園のチョウも植物も生き生きとしてきたころ、ふとベンジャミンを見ると、やけに虫食いのあとが目立ちました。近づいてよく見ると、ツマムラサキマダラとイシガケチョウの幼虫がいっしょになって葉をもりもり食べています。
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ベンジャミンを食べる幼虫2種 | 食べられたベンジャミンの葉 |
どちらの幼虫も小さなものから大きなものまでそろっていました。このまま放っておくと、ベンジャミンが丸坊主になって枯れてしまうおそれがあるだけでなく、えさの足りなくなった幼虫が死んでしまうので、幼虫は飼育室に回収しました。
生態園にはほかにもクワ科のハマイヌビワ(イシガケチョウの食草)、マメ科のモクセンナやゴールデンシャワー(タイワンキチョウの食草)など、チョウの食草がいろいろ植えられています。季節によっては、これらの食草に幼虫たちの姿が見られます。
優雅に舞うチョウの成虫に目を奪われがちですが、食草についた幼虫の観察もぜひチャレンジしてください。幼虫を探すポイントは、食痕(幼虫が葉を食べた痕)です。バッタやナナフシが食べていることもあります。大自然の中で虫の痕跡を探すのは、初めはむずかしいかもしれません。まずは昆虫生態園で、入門として虫さがしの小旅行をしてみませんか?
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 片田菜美〕
(2017年06月09日)