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キリン「ユルリ」の群れ入りとその後
 └─2017/06/02

 今年(2017年)1月31日に生まれたキリンのメス「ユルリ」は順調に成長し、4月5日に無事に群れ入りすることができました。

 群れ入りへの準備として、子どもは母親といっしょにコンクリート床の産室や小放飼場ですごします。群れ入りする前に、ほかのキリンやサバンナで同居するグレビーシマウマ、シロオリックスと柵越しに触れ合う機会はあるのですが、初めて同居させるとき、追われてケガでもしないか、いつもドキドキするものです。

 そんな係員の心配をよそに、ユルリは初めて踏む地面の感触を確かめるようにゆっくりと、母親について放飼場全体を歩き回りました。グレビーシマウマやシロオリックスに対しても、おたがいにおっかなびっくりのようすで近づいたり離れたりしながら、日を追うごとに群れの一員として堂々と行動できるようになりました。

 ただ困ったことに、ユルリが乳を飲もうとすると、なぜか父親のジルが近づいてきてユルリを追い払うような行動をとることが多く、初めのうちは授乳のようすを観察できる機会も少なかったのですが、ユルリもしだいにジルのすきを見て乳を飲むようになり、子どもながらも見せるしたたかな一面には感心しました。

 5月は夏のような日差しの日も多かったのですが、日陰は涼しい風が吹き、とてもすごしやすく、例年にくらべるとサバンナの動物たちは日中から座ってすごすようすが多く見られました。


いちばん右がユルリ。その隣がユビスケ、そしてテンスケ

 野生でのキリンの子どもは集まってすごす習性があるといわれています。5月末現在、サバンナにはユルリを含めて4頭の子どもキリンがいます。その中でもユルリよりも6か月、7か月先に生まれ、体の大きさもあまり違わない2頭のオスの子ども(「ユビスケ」と「テンスケ」)といっしょに座って休む光景がよく見られます。これも習性なのか、子どもたちだけで座ることはほとんどなく、たいてい1〜2頭のおとなのキリンがいっしょにいます。

 キリンの成長は早く、2歳になる頃には頭の高さが3メートルを軽く超えてしまいます。おとなになる4〜5歳までにはまだ時間がありますが、日に日に大きくなっていくので、子どもらしい姿を見るのは今がチャンスです。子どもとおとながいっしょになって、新緑の中でゆったりとくつろぐようすは今の多摩動物公園ならではの光景です。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 清水勲〕

(2017年06月02日)


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