春は恋の季節。現在、多摩動物公園のワライカワセミ舎には2組のペアがいますが、オスの「ロゼ」はメスの「キイロ」に熱烈なアタックの真っ最中です。アタックの手段は、えさのドジョウのプレゼント。
繁殖期になるとワライカワセミのオスは、メスに食べ物をプレゼントして求愛をする行動が見られます(求愛給餌)。メスがオスを気に入ってプレゼントを受け取れば、めでたくカップル成立。そこから交尾、産卵へといたります。プレゼントを受け取らない場合は残念ながらカップルにはなりません。
メスの「キイロ」(左)にドジョウをプレゼントしようとしているオスの「ロゼ」
私が担当になった2017年4月当初から、ロゼは来る日も来る日もドジョウをプレゼントしているのですが、キイロはまだその気になっていないらしく、贈り物を受け取ろうとしません。ロゼは何とか受け取ってもらおうと、いったん離れてからまた戻ってきてアピールを何度も繰り返したり、離れた場所からキイロのようすをうかがい、誘うための鳴き声を立てたり、手を替え品を替え呼びかける健気な姿を見ていると、なんだかこちらまで切なくなってしまいます。
オス(右)からのプレゼントを嫌がるメス
でも、こればかりはキイロがその気になってくれるのをじっと待つよりほかはありません。日が経つにつれ、2羽が並んで枝に止まる時間が増えたり、巣箱に入る回数が増えてきたりしているので、徐々に距離が縮まっているのではないかと思います。
これからもロゼの熱烈プレゼント攻撃(?)は続くことでしょう。そんなロゼの健気な姿を見てみたい!という方は、12時前くらいにワライカワセミ舎の前においでください。ドジョウを与えた直後から、求愛給餌の行動が見られます。
いつかロゼのプレゼントをキイロが受け入れ、かわいいひなの姿を見られる日が来ることを楽しみにしています。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 中澤洋子〕
(2017年05月05日)