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アカハシコガモの熱心な子育てとひなの成長
 └─2017/02/17

 オオフラミンゴが巣作りの場所争いでにぎわっている多摩動物公園のフラミンゴ舎。ついついフラミンゴに目を奪われがちですが、ここでは2種のカモも飼育しています。現在、アカハシコガモが22羽、アカハシオナガガモ3羽です。

 外から展示場に入りこんでいると勘違いされることもありますが、これらはアフリカに生息するカモで、れっきとした飼育動物です。


母鳥の下に入ろうとするひな

 そんな2種のうち、アカハシコガモの卵が昨年(2016年)10月13日に1つ孵化しました。親鳥は展示場の木陰にある巣箱の中で9月20日頃から抱卵していました。その日も朝はふだんと変わりありませんでしたが、昼頃、親鳥が聞きなれない鳴き声を発していたのでその近くを見てみると、孵化したばかりのひながもう巣箱から出て来て元気に池の中を泳いでいました。その姿は、まるで水に浮かべて遊ぶアヒルのおもちゃのようです。動き回って疲れると陸地に上がって休んだり、近くで休んでいる母鳥のお腹の下に潜り込んで温まったりしています。

 アカハシコガモの両親は協力して子育てし、ひなに他の鳥が近寄ってくると追い払って守るのですが、相手がフラミンゴだと親たちも逃げ出します。でも、追い払うことに集中し過ぎるあまり、ひなにぶつかったり、見失ったりすることもあります。

 ひなを見失った親鳥は鳴いて呼びかけますが、ひなが鳴き返さないと不安になるのか、泳ぎ回って必死に探し始めます。そんな親の不安をよそに、少し大きくなったひなは池の中を気ままに泳いでいます。

羽毛が生え替わりつつあるひな
若鳥に成長し、単独で行動するようになった

 ひなの行動範囲が広くなると、親鳥も付き添いが大変です。えさが与えられると親鳥はえさ場に急行し、すばやく食事をすませてからひなの元に戻ります。ひなが若鳥へ成長する頃になると、親鳥も少し安心するのか、以前ほど熱心に付き添わなくなり、若鳥も親鳥に近寄ることが少なくなっていきます。 

 今では立派な若鳥になり、親からすっかり独立しましたが、まだ成鳥に比べると一回り体が小さく、成鳥が赤いくちばしをもつのに対し、子のくちばしまだ青みがかっています。ご来園の際は、個体識別用の青いリングを右足につけた若鳥を目をこらして探してみてください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 武山栄治〕

(2017年02月17日)


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