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卵・卵・卵──鳥たちの記録
 └─2017/02/03

 2017年、酉年を迎えてはやひと月が過ぎました。1月、鳥類の担当者は昨年1年間の担当動物の繁殖状況をまとめ、「調整係」という記録担当者に報告をします。そのため、日誌を読み直したり、記録ノートを見たりしながら、懸命に卵の数を数えます。


左からツクシガモ、アカハシハジロ、オカヨシガモの卵

 昨年の4月から7月にかけて、マレーバク舎とカワウソ舎の間にある「カモ池」で、アカハシハジロやツクシガモ、オカヨシガモが産卵しました。ここはヘビが侵入して卵を食べてしまうことがあるので、卵は採取して育雛舎(いくすうしゃ)に運び、孵卵器に入れます。その際、有精卵か無精卵かを確認します(受精していて、ひなになる可能性のあるのが有精卵、受精していないのが無精卵です)。

 産卵時期に合わせて巣箱を設置するので、鳥たちはおもに巣箱内に産卵するのですが、ときどき草むらの中に巣を作ることがあります。


抱卵中のオカヨシガモのメス

 5月18日の朝、オカヨシガモのメスの姿が見あたらず、草むらの中をはいつくばって探すと、池の脇に巣を作って抱卵していました。卵は9個あり、よくよく見てみるとそのうちの2個はアカハシハジロの卵でした。一所懸命抱いているオカヨシガモには申し訳なかったのですが、親にはどいてもらい、卵をすべて採取しました。


オカヨシガモの卵

 オカヨシガモの卵は残念ながら無精でしたが、アカハシハジロの卵は有精卵だったため、育雛舎で育てることとしました。その結果、1羽は成長してカモ池に戻り、もう1羽は他の動物園に旅立っていきました。また、ツクシガモの卵も有精で、こちらは卵のままよその動物園に搬出しました。

 そういえばこんなこともあったな、と思いながら記録をまとめていましたが、もうカモたちのオスはきれいな繁殖羽になり、ペアでなかよく泳いでいたりします。「早く次の準備をしなくては……」と思いつつ、まとめ上げた報告書を提出しました。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 佐々木真己〕

(2017年02月03日)


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