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オオコノハムシの風変わりな卵
 └─2016/11/11

 多摩動物公園昆虫園本館の「外国産昆虫コーナー」では、2016年8月末からオオコノハムシを展示しています。体長は11センチほどで、鮮やかな黄緑色をしており、名前のとおり木の葉に似ています。以前展示していたコノハムシとは同属の近縁種ですが、オオコノハムシはふた回りほど大型でなかなか迫力があります。

 野外ではマレーシアの森でくらしています。きっと木の葉への擬態が効果的でしょう。昆虫園では餌としてグァバやシラカシを与えていますが、葉の中に溶け込んでしまうので、それほど大きくない50×40×60センチくらいの展示ケースの中でさえ、なかなか見つけることができないほどです。

オオコノハムシ成虫
変わった形をした卵

 オオコノハムシは来園当初から産卵を続けており、現在3匹のメスの成虫が毎日3〜5個ほどの卵を産んでいます。下が木の板でも土でも卵が転がっているので、卵の産み方が気になって観察してみたところ、樹上からポロリ、ポロリと無造作に産み落としていたのでした。

 卵は長さ約9ミリで色は黒。ごつごつしたなんともいえない形をしています。この卵はメスのみで飼育していて産まれたものですが、それでもちゃんと孵化します。じつはオオコノハムシはオスとメスが交尾して繁殖するだけでなく、メスのみで繁殖することもできるのです(単為生殖と呼ばれます)。

 糞も卵と同じように床にばら撒かれているので、卵の回収は掃除と同時におこないます。糞と卵は姿形が似ているので、糞の山から卵を見つけ出すには集中力が必要です。卵が土の上に落ちると慣れていても探すのはたいへんです。卵の色や形のもつ意味ははっきりとはわかりませんが、少なくとも地面にばら撒かれた卵が人間に見つからないようにすることには成功しているようです。

 オオコノハムシは成虫を探すのも難易度が高い虫です。展示ケースの前で時間をかけて探している方をよく見かけます。成虫を見つけたら、ぜひ床にも目を向け、糞の中にまぎれた卵探しにも挑戦してみてください。

〔多摩動物公園昆虫園展示飼育係 草野啓一〕

(2016年11月11日)


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