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ヤクシカの子2頭、さまざまなことに挑戦しながら成長中
 └─2016/07/01

 まず、次の写真をごらんください。写真の中央付近を拡大して見ると……動物がいるのがわかりますか?


身を隠すヤクシカの子

 これはヤクシカの子どもです。誕生後しばらくはほとんど動かず、外敵から身を守るためにこのように木の根元などに隠れます。動くのは一日の中でも母乳を飲む2〜3回だけなので、なかなか気づかない方も多いかと思います。そこで今年(2016年)生まれたヤクシカの子どもをご紹介しましょう。

 今年は5月14日にオス、19日にメスが生まれ、順調に育っています。出生時の体重はオスが2,100グラム、メスが1,800グラムでした。おとなになると約30~40キロになります。ごらんいただいた1枚目の写真は生後4日で、まだまだ隠れている時間のほうが長いのですが、1か月と少し経った現在、子ども2頭でいっしょに動いたり、おとなたちと共にえさを食べたりする姿もよく見られます。

 多摩動物公園の園内マップには「ニホンジカ」とありますが、ニホンジカは日本全国に生息しています。北海道から沖縄の慶良間諸島まで分布し、北に行くほど体が大きく、7つの亜種に分けられています。その中で多摩動物公園が飼育しているのは屋久島に生息する亜種「ヤクシカ」です。現在の飼育頭数は23頭。そのうちの2頭は今年生まれの子どもたちです。


子ども2頭で行動中

 ヤクシカ舎の展示場には高さ60~80センチの段差があります。おとなは簡単に昇り降りできますが、今年生まれの子どもにとってはとても高い壁。生後3週間頃までは、段差をさけて移動していました。しかし最近、「行こうか、どうしようか……えーい」とでもいったようすで、若干ためらいがちですが、おとなと同じように段差を昇り降りすることができるようになりました。


カラスを追いかける子ども(メス)と見守る母親

 おとなといっしょに草を食べ、展示場を全速力で駆け回り、近くに飛んできたカラスを追いかける2頭。メスのほうが好奇心旺盛で活発に動いていますが、2頭ともさまざまなことに挑戦しています。母親の「ツユクサ」と「サワーポメロ」は、すぐ近くで落ち着いて見守っています。さすが母親ですね。

 あっという間の成長に驚かされますが、まだまだ子どもなんだなぁと感じることもあります。今後、オスとメスで体の大きさに差が現れ、オスには角が生えてくるでしょう。そうした変化にも注目しながら、2頭の子どもの成長を見守っていただければと思います。                

〔多摩動物公園南園飼育展示係 河本彩花〕

(2016年07月01日)


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