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脳の活性化? 昆虫の観察・採集・飼育
 └─2016/06/17

 最近「育脳」「脳トレ」など、老若男女問わず脳を活性化させる試みがブームですが、私のオススメは「昆虫の観察・採集・飼育」です。

 虫はちょっと苦手だから遠慮したい……という方も、観察から始めてみてはいかがでしょうか。じつは私も少し前まで虫が少々苦手でしたが、昆虫の飼育担当になって身近な昆虫の観察を始めたところ、その楽しさにはまっています。

 昆虫は身近にいる生物ですが、意識して見ようと思わなければ、なかなかその存在に気がつかないことが少なくありません。たとえばカブトムシ。「お店で買うもの」というイメージをもっているお子さんもいるようですが、じつは都内でも地域や環境によって野生のカブトムシが見られます。カブトムシは6月下旬から8月ごろ成虫が多く見られるので、これから夏にかけて観察するのにもってこいです。

オスのカブトムシ(展示個体)
樹液に集まる昆虫
アカボシゴマダラ春型とハナムグリのなかま(上)

 昼間は落ち葉の下や木の枝の影などにいて見つけにくいのですが、夜から早朝にかけて、クヌギやコナラなどの樹液が出ている木に集まっているようすが観察できます。日中、樹液が出ている木を探しておいて、夕方観察に行ってみましょう。カブトムシ以外にも樹液に集まる昆虫は多いので、図鑑片手に行けば一気に知識が増えます(※昼間はズズメバチなど危険な昆虫も樹液にくるのでご注意ください)。

 カブトムシは飼育キットが売られていたり、飼い方がくわしく書いてある本も豊富なので、飼育にチャレンジするのもよいでしょう。

 他の昆虫にも興味がでてきたら、採集してみませんか。採った昆虫の種名を図鑑で調べ、その生態にあった飼育環境が整えられそうなら飼育してみましょう。飼育といっても、昆虫は餌や湿度の管理を失敗するとあっという間に死んでしまうことも多く、最適な飼育環境を維持するのは大変です。残念ながら死んでしまった場合は標本を作ってみましょう。標本は採集地や採集日、採集者を書いて保存すれば貴重な資料になります(※採集が禁止されている場所もあるのでご注意ください)。

 体と頭を使って採集し、試行錯誤を繰り返しながら飼い、細かい手作業で標本を作る──脳が活性化されそうだと思いませんか? 自然を感じられる最高の脳トレをぜひ試して、深くて広い昆虫の世界を探検してみませんか。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 佐々木愛子〕

(2016年06月17日)


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