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ゴールデンターキン「レイカ」の成長
 └─2016/01/08

 多摩動物公園にはゴールデンターキンの放飼場が2つあります。向かって左側の小放飼場では3頭のゴールデンターキンが日中をいっしょに過ごしています。


左上:メス「ホイ」、右上:オス「オウテン」、下:メス「レイカ」

 オスの「オウテン」(鶯巓)は2010年生まれで、「ゴールデン」ターキンの名のとおり、美しい金色の毛をしています。メスの「ホイ」も2010年生まれです。もう1頭のメスの「レイカ」は2014年3月生まれで、ホイの子です。いちばん若いレイカは3頭の中では体の大きさがいちばん小さく、角もまだ成長途中で小さめなので、すぐに見わけられます。

 金色の体毛をもつのはオスだけで、メスはベージュ色の毛をしています。しかも皮膚から分泌されたベトベトした油分が体中につくと見かけは茶色くなってしまいます。雨が少ない今の時期は油分が洗い流される機会も少なく、メスたちの体はますます濃い茶色になっています。

 子どものレイカは、夏ごろまではまだ油分が目立つほど分泌されていませんでしたが、10月ごろから、近くで見ると頭のまわりに赤茶色の油分が目立つようになり、だんだんおとなと同じになってきたなあと感じていました。


角の突き合いをするオウテンとレイカ

 そして最近、レイカにさらに顕著な行動の変化が見られるようになりました。それは12月に入り、オスのオウテンと角の突き合いをするようになったことです。母のホイのそばにいることが多かったレイカは、成長するにつれてだんだんと、母から離れている時間が増えてきていました。

 とはいえ、レイカには少し臆病な面もあったので、初めてオウテンと角を突き合わせているのを見たときは驚き、「レイカは大丈夫か?」とヒヤヒヤしました。でも、それは杞憂だったようで、よく観察しているとレイカは「私はオウテンと対等よ!」と言わんばかりに、力強くオウテンに向かっていきます。オウテンに比べて体が小さく身軽な分、ピョンピョン跳ねて縦横無尽にオウテンを翻弄しているようにも見えます。そのとき母のホイは干渉することなく落ち着いています。

 レイカはホイと角突合せをすることもありますが、オウテンとのほうが多いようです。また、レイカはオウテンの大きく立派な角をかわすかのように、オウテンの顔の側面から首あたりに自分の頭をうまく押し入れます。

 一方、オウテンもレイカを思い切り押して追いやってしまうこともなく、レイカの動きを見つつ受身の姿勢を取ったりして、ちゃんと力を加減しているようすです。体の大きいオウテンがレイカより一段低い場所で相対することもあります。

 オウテンとレイカとの関係は、じつは父と子ではありませんが、レイカが生後8か月のときから同じ放飼場で過ごしています。ターキンは群れの中で角の突き合いをしながら順位を決めます。レイカもこうした日々の行動を通して社会性を身につけているのだ、と思いながら成長過程を興味深く観察しています。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 生井沢初枝〕

(2016年01月08日)


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