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ノウサギ舎のアイドル? ニホンイタチのご飯
 └─2015/12/04

 多摩動物公園のノウサギ舎には、ノウサギやネズミ類のほかに、1頭だけニホンイタチのオスを展示しています。

 この個体は2011年に大島公園からやって来ました。野生のイタチの寿命は1年半〜2年くらいですが、多摩動物公園に来てすでに4年が過ぎました。捕獲時も今と変わらない大きさだったので、すでに「おじいさん」なのはまちがいありません。今年の夏は暑がきびしく、ニホンイタチも食欲がなくなってバテることもありうるので、日中は巣穴の中に氷を置きました。その結果、巣内で過ごすことが増え、姿を見せてくれる機会が少なかったと思います。閉園後、日が陰って涼しくなると巣から出てきて、水飲み場兼水浴び場のわきで、長い体を伸ばしてくつろいでいる姿をよく見ました。


ニホンイタチ

 季節も変わり、夏から秋そして冬になり、イタチの食欲も徐々に増え、巣穴から顔を出したり、日中でも姿が見られたりするようになりました。同時に、ある音を耳にすることが増えました。初めて耳にしたときは、何の音かわからず、どこから聞こえてくるのか見当もつかず不思議に思いましたが、お腹をすかせたイタチが展示ケース内の木の板をガリガリ引っ掻いて、えさを催促する音だと、後になってわかりました。

 姿が見えるようになると来園者の方には好評で「イタチだ、イタチかわいい〜」とか「さわりた〜い」という声を耳にすることが多くなります。たしかにイタチは小柄な体格で見た目もかわいく、愛くるしい姿をしていますが、じつは肉食性で、野生では小さなハンターであり、ニワトリやウサギなど、自分より大きな動物も単独で捕食する獰猛さをそなえています。へたに手を出すと噛まれますよ。

 では動物園で与えているえさはなんでしょう。来園者の方にお見せすると不思議な表情を浮かべます。それは通称「イタチバーグ」、手作りのえさです。そして週1回の生餌(マウス)。イタチバーグの材料は馬肉、アジ、煮ニンジン、押し麦の4つです。押し麦以外の材料を細かく切り、家庭用フードプロセッサーでミンチにし、最後に押し麦と混ぜ合わせてから丸めます。1頭分約60グラム、冬場は良く食べるのでちょっと大きめの約 100グラムです。「イタチバーグ」は好評で、食いつきもよく、よい状態のフンが見られるようになります。

ニホンイタチ用のえさ「イタチバーグ」

 最後にお願いがあります。イタチは神経質で警戒心が強い動物です。巣穴の中にいる時はそっと見守ってください。よろしくお願いします。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 横田利明〕

(2015年12月04日)


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