秋を迎え、今年(2015年)も多摩動物公園の園内にはドングリが盛大に落ちています。「あたり年かな?」と職員の間でも話題になるくらい、風が吹くと音を立てて降ってきます。
ケナガワラルーの放飼場のすぐそばにも大きなコナラが生えていて、たくさんのドングリが落ちてきます。ワラルーの生息地に日本と同じようなドングリがあるのかわかりませんが、多摩のワラルーたちはドングリを好んで食べているようです。
この時期、放飼場の清掃をしているとドングリの帽子(殻斗:かくと)ばかりがたくさん集まります。中にはかじりかけのドングリが落ちていることもありますが、そうした食べ痕を見ると、「食事中に何か驚くことがあったのかな?」と、動物や放飼場に変わったことがないかどうか、くわしく観察するきっかけにもなります。

ドングリを食べるケナガワラルーのメス「ドングリ」
あまりにもよく食べるメスには、「ドングリ」という名前をつけてしまいました。今年はドングリも量が多いので、おなかを壊したりしないか少し気になるところですが、今のところ体調をくずすようすもなく、元気に毎日ポリポリしています。

切ったマテバシイに群がるケナガワラルーたち
寒くなる冬に向け、放飼場にあるマテバシイの伸びた枝を切り落とす作業も少しずつ始めました。大きな葉をつけるマテバシイは常緑樹なので、生い茂ったままでは日なたが少なくなってしまうからです。このマテバシイの葉や樹皮もワラルーの大好物で、競って食べています。放飼場の中には3本のマテバシイが植えてありますが、木によって味が違うようで、食いつき方や残し方が違うところも興味深いところです。
これら自然の恵みは繊維質が豊富な贅沢なおやつです。ケナガワラルーたちも「秋の味覚」を食べ、冬に備えています。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 永田典子〕
(2015年10月30日)