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“あ〜ごくらくごくらく”アフリカゾウ「チーキ」の足湯
 └─2014/12/26

 12月に入って気温も下がり、本格的な冬到来です。寒い日はゆっくりとお湯につかりたいですね。お湯につかった動物といえばサルやカピバラを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、多摩動物公園のアフリカゾウもお湯につかることがあります。

 多摩動物公園のアフリカゾウ「チーキ」(推定38歳、メス)は、全身を温めるためではなく、足の治療のために「足湯」に入っています。チーキは、右前足の爪に穴が開いており、その穴から細菌が侵入して感染が広がり、膿瘍ができてしまいました。日々の洗浄、消毒、削蹄(ひづめを削ること)による治療をおこなっていますが、膿瘍が下から上へ、内部に進行し、なかなかよくなりません。治療を補うために、右前足を温め、血行を促進して代謝を上げることにより、悪化した組織を外へ出すよう促しています。



 足湯を実施するにあたって、まずは足を入れるたらいに慣らすことから始めました。見慣れないためか、チーキはたらいを警戒してじっと見つめてみたり、恐る恐る鼻を伸ばし触ってみたりしていました。そこで警戒心を和らげるために、たらいに餌を入れ、警戒すべきものではないとわかるようにしました。



 抵抗なく鼻をたらいに入れるようになってきたので、中に水を入れ、その水を使ってたわしで足を洗い、たらいは餌容器ではなく足を洗うためのものだと覚えてもらうようにしました。それから足を入れる練習です。係員はチーキが足を入れやすい位置を探し、チーキも自分が楽な位置を探しました。

 たらいの位置が決まると、いよいよお湯を注ぎます、温度はおおよそ43℃です。チーキはさほど嫌なそぶりは見せず、すぐ順応しました。チーキも気に入ったらしく、積極的に足湯に入ろうとします。

 足をつけている間は好物のバナナやパンを与え、「やる気」を引き出します。始まって7分を過ぎると足が温まり眠くなってきたのか、ときおり頭がカクッと下がります。「よし!」と終わりの号令をかけてもチーキはたらいから足を上げず、足湯を続けようとすることもしばしばあります。

 現在、足湯15分を目標に徐々に時間をのばし、10分まで続けられるようになりました。チーキの足がよくなるように応援してください。

〔多摩動物公園飼育展示課 武山栄治〕

(2014年12月26日)



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