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引っ越しをしたスイギュウ「ハルナ」の春から秋
 └─2014/10/24

 多摩動物公園のスイギュウ「ハルナ」(メス、24歳)は、昨年(2013年)11月までインドサイ舎の南側にあるスイギュウ舎で公開していました。

 その後、スイギュウ舎は新アジアゾウ舎の建設エリアに含まれる計画となったため、シフゾウ舎に引っ越し、しばらくのあいだ非公開エリアで過ごすことになりました。ただし、来園者の方が柵ごしに見ると、ハルナの姿が見える場所もありました。

 スイギュウは汗をかく腺が少なく、水浴びや泥浴びをして体温調節をします。シフゾウ舎の運動場にはシャワーを準備しましたが、引っ越しの後はシャワーをまったく浴びませんでした。

 ところが5月に入り、暑い日には自分からシャワーを浴びるようになりました(写真上)。しかし、全身が冷えるまでにはいたりません。体の下にもホースで水をかけてやると、気持ちよさそうにしていました。

 やはり全身が浸かれるプールが必要です。そこで、シフゾウ舎中央の運動場にある池を改修し、プールを作ることになりました。水深は60センチしかとれなかったのですが、座れば全身が水に入ります。

 8月、ついにプールが完成。8月3日からハルナをふたたび公開することにしました。運動場に出たハルナはまっすぐプールに向かい、いちばん深いところに入って座り、顔を水面に何度も何度もつけていまいした。よほど気に入ったのか、えさも食べず、閉園時間際までずっとプールに浸かっていました。部屋へ入るよう促すと、やっと立ち上がって移動をしてくれました(写真中)。

 翌日以降、運動場に出るとまっすぐプールへ向かう日々が続きましたが、日が経つにつれてプールから出る時間はだんだん早くなり、9月に入ると昼ごろにはプールから出てくるようになりました。そして10月ともなると、プールに入るのは1時間から2時間程度になりました。

 ところで、頭から肩にかけて白い体毛が生えているハルナですが、水浴を始めてから背中の体毛に変化が現れました。当初、背中からお尻にかけて皮膚が裸出していたのですが、だんだん体毛が生えてきました。今では白い毛に覆われ、ところどころに黒い毛や茶色の毛も生えています(写真下)。

 スイギュウとしては高齢のハルナですが、これからも元気に過ごしてもらおうと思っています。

写真上:みずからシャワーを浴びるスイギュウ「ハルナ」
写真中:お気に入りのプールでくつろぐハルナ
写真下:水浴をするようになってから、これまで皮膚が裸出していた部位にも体毛が生えてきた

〔多摩動物公園南園飼育展示係 井上邦雄〕



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