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ギョウギョウシの展示
 └─2014/09/26

 「ギョウギョウシ」とは「行行子」の読みで、俳句では夏の季語として詠まれています。この言葉は,日本の夏鳥であるオオヨシキリのさえずりを表現したものです。実際の鳴き声は、ギョシッギョギョシッ,ケッケッカッカッシシに近いものです。
 多摩動物公園では、ウォーク・イン・バードケージ内の小ケージでオオヨシキリの展示を開始しました。

 英名はoriental reed-warbler で、warbler はウグイスやムシクイのなかまを指す言葉ですが、さえずるように歌う人という意味もあります。つまり、東洋産の葦原でさわがしくさえずるムシクイ類とでも解釈できそうです。

 学名はAcrocephalus orientalisもしくは Acrocephalus arundinaceusで、前半の属名はギリシャ語で「とがった」という意味のakrosと「頭」の意味であるkephaleから来ており、後半の種小名orientalisはラテン語で「東方の」、arundinaceusは「葦の」を表すといわれます。この学名からは、ヨシキリが垂直に伸びた葦の茎を両脚でつかんで葦原にまぎれる姿や、頭頂に逆立った冠羽のあるようすがわかります。

 野生のオオヨシキリは、秋から冬にかけて日本より暖かい東南アジア、インドネシア、フィリピン、ニューギニアなどに渡っていき、翌年の春までそこで過ごします。そのため、展示には小さなパネルヒーターを設置しました。冬の寒さを乗り切り、来年の初夏には「ギョウギョウシ」の声を響かせてくれることでしょう。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 由村泰雄〕

(2014年09月26日)



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