多摩動物公園アフリカ園のキリンやグレビーシマウマのいるサバンナエリアの一角に、グレビーシマウマ用の小さな展示場があります。オスを一時的に群れから離して繁殖を制御したり、親子をほかのシマウマから分けて馴致したりするために使用する場所です。また来園者の方により近い場所でシマウマを見ていただくこともできる場所です。
シマウマは、時に脚で蹴ったり体当たりしてくるので、通路との仕切り壁は、鉄製の網と鉄板で作られています。
その鉄板部分にはずいぶん前から一部シマウマのシマ模様が描かれています。気がついた方もいらっしゃるかもしれませんが、今夏このシマ模様が新しくなりました。
今までの模様はかなり古く、ペンキがはがれて少しみすぼらしくなっていましたが、いつも誰かしらシマウマを展示していたため、なかなか新調作業をするタイミングがありませんでした。
2014年春先、オスをメスたちと同居させるために広いサバンナ放飼場に展示しました。その間はちょうど展示場が空くので、このチャンスにリニューアルすることにしました。
作業は、飼育担当者の手で分担しておこないました。まずは、表面を滑らかにしペンキを錆びとともにグラインダーで削りました。次に、下地色としてシマ模様のないところは緑色、シマ模様のところは白色のペンキをローラーおよび刷毛で塗っていきました。
最後の一番難しい仕上げは、シマ模様を描くこと。当班きっての画才のある飼育係員が腕をふるいました。白地に黒で描くのですから失敗は許されません。慎重にそして本物に近づけるように描きます。ちなみに、このシマ模様は現在飼育しているメス2頭「ナギ」「ライチ」の左腹部の模様を忠実に写しています。さらによりリアルにするために、以前のシマ模様よりも黒いシマ部分の幅を細くして、実際のグレビーシマウマに近い感じにしました。
完成後、そろそろ暑くなる時期にオスの同居を中止し、オスのシマウマをこの展示場に戻しました。シマ模様を新しくリアルにしたのでその反応に期待したのですが、オスにとくに変わった変化もなく以前と同じように過ごしています。
「シマウマのシマ模様は何のため?」という質問の答えには、いろいろな説があります。敵に対する目くらまし、温度調節、虫よけなどがいわれていますが、その効用の本当のところは、シマウマに聞いてみなければわからないのかもしれません。
写真上:古いシマ模様
写真中:リニューアルしたシマ模様
写真下:ただ今シマ模様制作中
〔多摩動物公園北園飼育展示係 髙原由妃〕
(2014年09月05日)
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