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ヤギの出産とオスの任務
 └─2014/09/05

◎2年ぶりにヤギ誕生!

 多摩動物公園では2012年以来、2年ぶりにヤギが誕生しました。お母さんヤギは2014年4月に上野動物園からやってきた「ツキ」です。今回上野動物園からヤギを移動するにあたり、上野でオスヤギと一緒にして交尾をさせておいてもらいました。

 ツキは出産予定日より2週間も前から乳が出てくるようになり、出産が早まるかとも思いましたが、結局予定日を2週間ほど過ぎた7月14日朝、1頭を出産しました。

 ところが、ツキは子ヤギの世話をまったくしません。そればかりか子ヤギがツキのところに行こうとすると、角で追い払おうとします。まずは初乳を子ヤギに飲ませたいと思い、ツキを押さえて子ヤギをおっぱいに何回か吸いつかせました。さらに後産がなかなか落ちず、2日後の朝になっても、陰部から出血がおさまらないためレントゲンを撮ると、ツキのおなかの中にはまだ子ヤギがいることがわかりました。そこで帝王切開で子ヤギを取り出しましたがすでに死亡していました。ツキは生まれた子ヤギと一緒にしばらく入院しその間に、子ヤギの世話をちゃんとするようになっていきました。

 7月23日の退院後も子ヤギの成長は順調で、生後1週間ほどで青草も食べられるようになりました。

 子ヤギはメスで、名前を「もち」と付けました。ヤギたちは自分の名前が書いてある名札をつけた首輪をしています。生まれて3週間がたったころ、もちにも首輪をつけてみましたが、その途端に母親ツキがもちを角で追い払うようになり、また首輪をはずすと何事もなかったように世話をします。母親の世話が必要なもちに首輪をつけるのはまだ後のことになりそうです。

◎オスヤギの新しい任務

 ヤギのツキ親子が退院したのと入れ替わりに、3頭のオスヤギが新たな任務を得て、園内のとある場所に移動しました。その任務とは、動物がいなくなったり手が足りなかったりして雑草がのび放題になった運動場の「草刈り」です。移動した先は、「チュウ」「ショウ」の兄弟ヤギが旧モウコノウマ舎運動場、「ジョウ」がノウサギ舎裏のカリガネ舎です。移動した直後は3頭とも知らない場所に戸惑っていたようですが、1か月経ち順調に任務をこなしています。

 じつは、この草刈りのための移動には別の思惑もありました。ヤギは新参者には厳しく、生まれたばかりの子ヤギも例外ではありません。今回ツキの出産があり、トラブルの元になりやすいオスヤギを移動させたいとも思っていました。子ヤギが大きくなって独り立ちするまで、もうしばらく、3頭のオスヤギには、草刈り任務をお願いする予定です。今後、場所を変えることもあるので、意外なところから「メー」と鳴く声が聞こえてくるかもしれません。

写真上:室内でくつろぐツキ親子(左)
写真中:旧モウコノウマ舎にオスヤギが移動した初日
写真下:草刈り任務1か月後の運動場

〔多摩動物公園南園飼育展示係 土屋泉〕

(2014年09月05日)



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