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おしえて! モグラ先輩!
 └─2014/08/08

 みなさんは動物園で、掲示されている解説板やラベルを読みますか? 動物園の最大の魅力はなんといっても生きて動いている動物たちですが、その動物たちをよりよく理解してもらうために、解説板やラベルが重要な役割を果たしています。

 モグラはほぼ土の中だけで生活する動物で、その生態も独特です。誤解されることも多い動物なので、多摩動物公園のモグラ展示「もぐらのいえ」では、その生態を説明するラベルを掲示したいと考えました。

 しかし「もぐらのいえ」は、中に入った瞬間天井に張り巡らされたモグラの通路が目に飛び込んでくるため、説明ラベルには目を留めにくいようです。ここで生態を長い文章で説明してもきっと誰も読んではくれないでしょう。まず
考えたのは文字数を抑え簡潔に伝える手法ですが、その上に何かしら読んでもらうためのインパクトが必要だと考えました。

 そこで生まれたのが「モグラ先輩」です。いろいろな人が抱いているモグラに関する疑問をモグラ先輩が明快に答えていくというものです。あえて口の悪いキャラクターにすることで、言いにくいこともはっきりと表現できるようにし、「きっとモグラだったらこう思っているはず」という気持ちを込めてラベルを作ってみました。

 口の悪いモグラ先輩はそれなりにインパクトがあったようで、お客さんたちの反応は上々です。笑いながら読んでいるカップルや、読みながら話している親子の姿を時々目にします。Twitterでも一時話題になり、モグラ先輩のラベルを写真に撮っていく人もいました。

 それでも生きているモグラたちにはかないません。モグラたちが通路を移動しているとラベルなんてそっちのけでお客さんたちはモグラに夢中です。もちろん、動物園の主役は動物ですからそれが何よりなのですが、飼育係は自分の担当動物をよりよく知ってもらうために、試行錯誤しながらラベルを作っています。動物を見るときには、ラベルにもちょっと目を配っていただけると幸いです。そこにはきっと新しい発見があるはずです。

 ラベルの話ばかりになってしまったので、「もぐらのいえ」の宣伝を少々。半年ほど空いてしまったカワネズミの展示は2014年6月から再開しました。目が退化し、耳介はなく、ネズミのような長い尾をもつ独特の風貌で水に入って魚を捕らえる姿は必見です。モグラは8月現在、コウベモグラ4頭、アズマモグラ4頭を飼育していて、動くモグラに会える確率が高くなりました。また、テーブルのアクリル板を更新したので土を掘る姿も観察しやすくなりました。多摩動物公園にいらしゃった際には、ぜひ「もぐらのいえ」にお立ち寄りください!

写真上・中:「おしえて!モグラ先輩!」パネル
写真下:「もぐらのいえ」全景

〔多摩動物公園南園飼育展示係 熊谷岳〕

(2014年08月08日)



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