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ガンのひなの幼稚園
 └─2014/08/01

 多摩動物公園新コウノトリ舎の右から2番目のケージでは、2014年生まれのコウノトリ、サカツラガン、ハイイロガン、カリガネのひなたちが一緒にくらしています。

 隣にある育すう舎では、園内の鳥たちが産んだ卵を孵卵器に入れて孵化させ、ひなは大きくなって展示ケージに移すまでは、ここで育てられます。

 孵化したときは小さいので箱に入れて保温して育てますが、すこし大きくなると箱から出して室内ケージに移します。その後は外の空気に触れたり、雨にぬれたりして環境に慣らしていきます。

 ガンのなかまは、孵化したときは全身綿毛に包まれていますが、成長にしたがって羽が生え、雨水もはじくようになります。このころになると、体もがっしりしてきて育すう舎のケージでは狭くなり、運動も十分できなくなってきますが、親たちと同じ水鳥池やコウノトリ舎に移すにはまだ十分な大きさではありません。そこで新コウノトリ舎の1室を借りて大人と同じになるまで、しっかり餌を食べさせ、運動もさせて体力や精神力を身につけさせていきます。ここにいる期間は3、4か月から半年くらいで、秋には親たちがいる展示ケージに移すことを目標に過ごします。

 ガンのひなたちは、天敵に見つからないよう大人とは違った目立たない色をしています。大人は種によりそれぞれ特徴がありますが、ひなのうちはみな同じような色をしているので、ここでひなの見分け方をご紹介しましょう。

 「写真下」には、サカツラガン、ハイイロガン、カリガネが写っています。体の色は同じなので区別が難しいのですが、右から1番目と3番目がハイイロガン、2番目がサカツラガン、5番目がカリガネです。ハイイロガンのくちばしはピンク色、サカツラガンは黒色です。これはおとなのくちばしと同じ色で、くちばしから色が変わってきています。3番目のハイイロガンは1番目より少し遅れて生まれたのでピンクが十分出ていません。5番目のカリガネは、ほかの2種と体の模様は同じようですが、全体に少し黒味がかっています。 

 ひなの違いや特徴が見られるのは今のうちです。

写真上:鳥たちの幼稚園
写真中:サカツラガンの孵化直後のひな
写真下:ガンのひなのくちばしや体色の違いがわかる

〔多摩動物公園野生生物保全センター 神門英夫〕

(2014年08月01日)



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