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アフリカゾウ「砥夢」の牙を切りました
 └─2014/07/11

 多摩動物公園のアフリカゾウ「砥夢」は5歳になり体も一段と大きくなりました。相変わらずやんちゃで元気な砥夢ですが、先日左牙の先端が欠けてしまう事件がありました。

 以前のニュースで砥夢の牙にカバーがついていることはお伝えしましたが、生まれ故郷のとべ動物園にいるころから壁などを牙で突いたり擦る癖があったため、牙の先端が磨耗したり割れたりしないよう消防ホースや医療用のギプス等で作ったカバーをかぶせて保護しています。

「アフリカゾウ『砥夢』の近況」(2013年01月18日)

 しかし、遊び盛りの砥夢が丸太や土山を牙で突いているうちにカバーが壊れたり、抜けたりしてしまうことも頻繁にありました。

 その日もカバーが抜けたままの牙で丸太などにアタックしたのでしょう。左牙の先端上部が欠けてしまいました。そのままにしておいて、欠けた部分から根元の方までヒビが広がってしまうと大問題です。そこで牙の先端を平らにするために欠けた部分を切断することにしました。

 牙を切るには砥夢をじっとさせておかなければなりません。麻酔をかけて切る方法もありますが、砥夢の場合、牙にカバーをつける時にトレーニング用の柵から牙を出させ、餌を与えながらじっと静かにさせることができています。そこで、この方法を使って牙を切れないかと考えました。

 次の日から牙を切るための練習を始めました。最初は牙を触りながらノコギリなどの道具を見せたり、牙に道具を触れさせたりしながら少しずつ馴らしていきました。道具に馴れたところで、次にはヤスリで牙を擦って振動を与えたり、のこぎりでカバーの先端をわずかに切ってみたりと、少しずつ本番に近い内容に近づけていきました。初めは道具や切る動作を気にしていましたが、毎日繰り返すことで少しずつ気にしなくなっていきました。

 練習を始めて19日目に、牙を柵外に出させて先端を切り始めました。砥夢はとくに嫌がることもなく、静かに餌を食べていました。牙は硬く、ノコギリの刃が何度か折れてしまうアクシデントはありましたが、10分とかからずに切断でき、切った先端をギプスで補強して処置を終えました。

 今後は同じ処置ができるように引き続き馴らしていき、また右牙にも同じ処置を施したいと思っています。

写真上:欠けてしまった左牙
写真中:牙の切断中
写真下:じっと待つことができる砥夢、牙は切断後

〔多摩動物公園北園飼育展示係 斎藤友樹〕

(2014年0711日)



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