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アフリカゾウ、トレーニング柵での爪の手入れ
 └─2014/04/25

 以前の記事でお伝えしたように、多摩動物公園では2013年12月にアフリカゾウの部屋替えをしました。

「アフリカゾウの部屋替え」(2014年01月17日)

 メスの「チーキ」(推定38歳)は、部屋が替わっても出入りはスムーズでしたが、見慣れないトレーニング柵(PCウォール)には近づかないため、柵の近くに餌を置いてみました。夜の内に餌を取ってはいましたが、柵の向こう側に飼育係がいると警戒して近づいてくれません。そのため、以前からおこなっていたターゲット棒を使ったトレーニングもできない状況でした。

 チーキの警戒心を解いていくために、チーキから近づいて来るのを待ちました。3週間ほどで、柵や柵越しの人間が自分に対して悪い物ではないと納得し始めたようで、以前のようにターゲット棒に頭をつけたり、柵へ腹を寄せたりするような指示には応じるようになりました。

 しかし、肝心の手入れをしたい前足を柵に乗せることはまだしてくれません。そこで、少しでも柵に触れたら「よし!」と声を掛け、与える褒美の量を増やしたところ、徐々に足を柵の下段まで上げるようにはなりましたが、治療のためにはより高く足を上げさせる必要があります。

 チーキのやる気をより出させるために、トレーニング時の褒美を好物の落花生やパンに変えてみると、段々と応じるようになり、今では足の裏全体が見えるほど高く上げられ、これでより丁寧な爪の治療ができるようになりました。

 今は、後ろ足も高く上げるよう練習中です。ゾウに不安を与えないよう飼育係も丁寧な動きで接し、より良い信頼関係を築いてゾウたちのケアを進めていきたいと思います。

写真上:左前足を上げている「チーキ」
写真下:後ろ足を上げる練習中

〔多摩動物公園北園飼育展示係 武山栄治〕

(2014年04月25日)



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