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チョウの好みの味は……
 └─2014/04/18

 春到来。野外でもチョウが飛ぶ姿が少しずつ見られるようになりました。
 多摩動物公園昆虫生態園の大温室は、もちろん一年中たくさんのチョウが飛んでいます。ではこのチョウたちは一体何を飲んで生きているのでしょうか?

 大温室には、チョウが吸蜜する花(蜜源植物)が15種類ほど植えられています。多くのチョウが好むランタナやペンタスの花は、蜜源の主力です。下段に多く植えられている薄紫のカッコウアザミの花は、ツマムラサキマダラやアサギマダラが頻繁に吸蜜に訪れます。体の小さいタイワンキチョウやヤマトシジミは、蜜を吸うストロー状の口吻が短いので、クフェアやチリメンナガボソウなど小さな花の蜜を吸います。

 しかし、常に1000匹以上のチョウが舞う昆虫生態園では、いくらたくさんの花が咲いていても、蜜が足りているとは言えません。そこで、ハチミツを10倍に薄めて入れた小皿を、約10か所に設置しています。

 自分からハチミツ皿に行かないアゲハチョウは、羽化して翅が乾くと人の手でハチミツ液を飲ませ、ハチミツの味と香りを覚えさせてから温室に放すと、花の蜜が足りないときはハチミツ皿に飲みに行き、寿命をまっとうできるようになります。

 ここで変わり種を2種ご紹介します。まず、人の汗や手あかを好むカバタテハは、来園者用の手すりに止まっては口吻を伸ばし、一生懸命手すりの表面を吸っています。また、男性の整髪料に含まれる成分を好むオオゴマダラのオスは、お好み?の来園者の頭に群がります。

 人間同様、チョウの好みもいろいろのようです。

写真上:カッコウアザミの花で吸蜜するアサギマダラ(上)とシロオビアゲハ
写真下:ハチミツ皿で吸蜜するオオゴマダラ(右)とリュウキュウアサギマダラ

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 吉川道子〕

(2014年04月18日)



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