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オランウータン、女の子は赤ちゃん大好き?
 └─2014/02/21

 多摩動物公園ではボルネオオランウータンのオス4頭とメス5頭の計9頭を飼育しています。

 その中で2012年11月に生まれたリキ(オス)とミンピー(メス、7歳)との関係にはとても興味深いものがあります。

 オランウータンは単独でくらす動物ですが、メスの場合、子どものころにほかの小さい子どもに触れたり、育児中の親子のようすを見たりすることが、将来の育児の成功率を格段に上げるという報告があります。そこでミンピーには、早いうちに小さい子どもと接する機会を作りたいと考えていました。

 現在、リキもミンピーもまだ母親と一緒に生活していますが、2013年夏にまずは2組の親子同士で格子越しにお見合いをしました。しかし、お見合いのたびに母親同士が格子越しにつかみ合いのケンカをするので、とても4頭の同居は考えられませんでした。

 ところが、こうした母親同士のケンカにはまったく動じず、ミンピーとリキの相性はとてもよいようで、格子越しにお互いを触り合ったり声を出しあったりと楽しそうにしていました。

 そこでミンピーの親離れも兼ね親子が分離できたときに、一時的にミンピーとリキたち親子との同居を始めました。

 ミンピーは、リキに触りたいという気持ちが先走ってしまい、リキの母親キキにはお構いなしに触ろうとするため、パンパン音が聞こえるほどの勢いで叩かれたり、運動場の端に追い詰められたり、ホースや麻袋で叩かれたりと、とても楽しそうな状況とはいえませんでした。

 しかし、ミンピーはキキにどんなに叩かれても同居を拒むことはなく、むしろ自分から行きたがり、連れ戻そうとする母親の隙をみては離れて、同居を要求してきました。同居の回数が増えるにつれキキのようすを伺うことを覚え、怒られたら引いてみるという駆け引きも少しずつできるようになっています。

 2014年1月の終わりには、なんとミンピーがリキを抱っこし、さらには背負って歩くことができたのです。このときの子どもたちのようすは大変ほほえましく、約1時間一緒に遊んだ後にミンピーがリキを持ち去ってしまうのではと不安になるほど遊びを満喫していました。

 ミンピーの子どもに対する扱い方はまだまだ危なっかしい感じで、キキに怒られることも多く、遊べる日もあればほとんど遊べない日もあります。ミンピーとリキの同居は毎日おこなってはいませんが、日々成長している子どもたちをぜひ見に来てください。

写真上:楽しそうに遊ぶ「ミンピー」と「リキ」
写真下:「キキ」に叩かれる「ミンピー」

〔多摩動物公園南園飼育展示係 清水美香〕

(2014年02月21日)



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