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チンパンジー、最近の自動販売機の利用
 └─2014/02/14

 多摩動物公園のチンパンジー舎には、チンパンジー用の自動販売機があります。 

 2000年に現在のチンパンジー舎が建てられた際に設置し、7か月後にはチコ(メス、当時6歳)が買い物に成功しました。その後自動販売機の利用がチンパンジーの間に広がり、現在は飼育頭数20頭中13頭がジュースを買うことができます。また、自動販売機の横には空き缶回収機があり、缶を入れるとコインが出てきて、また買い物に利用することができるのですが、こちらも15頭が成功しています。

 子どもたちは、ほかの個体が使用するのを見て、真似をして覚えていきます。現在、一番年少から順にジン(5歳)、マックス(6歳)、ミカン(8歳)、ボンボン(8歳)、アンナ(9歳)がいますが、ジンとマックスは自動販売機での買い物に成功したことがありません。自動販売機の成功とは、「自身でコインを投入し、出てきたジュースを手に入れる」こととしています。コインを投入しても、ジュースが出てきたときにほかの個体に取られてしまっては買い物に成功したとはいえません。

 空き缶回収機を利用できない個体は、飲み終えた缶を捨ててしまうため、ほかの個体が拾ってコインに交換しています。夏ごろからジンは空き缶を拾ってきては回収機を利用していますが、獲得したコインを自動販売機に入れようとするとおとなの個体が寄ってきたり、すでにジュースが売り切れていたりして、買えない日々が続いています。

 マックスは2012年5月に回収機の利用に成功し、夏ごろからコインを自動販売機に入れていましたが、おとなにジュースを取られてしまうためか、最近はコインを入れることも止めてしまったようです。

 買い物に成功するにはコツが必要です。自分より順位の高い個体が近くにいないことを確認して買うことです。
 ミカンは3歳、ボンボンは5歳、アンナは4歳で成功していますが、ミカンとボンボンは待ち切れずにコインを投入しほかの個体に取られてしまうことが多く、アンナは待ち過ぎて売り切れになり購入できないことが多く見られます。 

 ジンとマックスも周囲の状況を把握して買うしかありませんが、もう一つとっておきの方法があります。それは自分が強くなり順位を高くすることです。
 おとなになるまで我慢するのか? そのまえに何とかしてジュースを手に入れる方法を見つけるのか、2頭が買い物に成功するする日はいつになるでしょうか、楽しみです。

・東京ズーネットBBの動画「チンパンジーの空き缶回収」(2008年10月撮影)

写真:空き缶回収機を利用する「ジン」

〔多摩動物公園北園飼育展示係 廣瀬格〕

(2014年02月14日)



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