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アフリカゾウの部屋替え
 └─2014/01/17

 2013年12月18日、多摩動物公園のアフリカゾウの部屋替えをしました。室内展示室に設置しているトレーニング柵(PCウォール)を使って、チーキ(メス)の足裏を手入れするためです。

・PCウォール関連記事 「PCウォールを使ったアジアゾウのトレーニング」(2013年09月27日)

 部屋替えをする前に、トレーニングの時間を使って砥夢(オス)を引越先の部屋に入れ馴らすことから始めました。その際重要なことは、砥夢に楽しいことをやるのだと認識させることです。初めは躊躇していた砥夢も、好物の餌があり、遊んでもらえると分かると、数日で部屋で落ち着くようになりました。

 部屋替え当日、入舎はふだんと変わらず砥夢、アコ(メス)、チーキの順におこないました。突然部屋が替わることになったアコとチーキが入舎を嫌がるかと心配しましたが、いつもより警戒はしたものの案外スムーズに入りました。しばらくは落ち着かないようすでしたが、徐々に落ち着き餌も食べ始めました。 

 翌朝の出舎もいつもどおり、チーキ、アコ、砥夢の順です。外はあいにく雨で、チーキは雨を気にして少々出舎を嫌がりましたが、ゆっくりと運動場へ出て行きました。

 次にアコのために扉を開けると、一瞬通路の方へ歩き出しましたが、部屋の中へ戻ってしまいました。昨日まで見ていた景色と違うので戸惑ったようです。飼育係が声を掛けたり、餌を通路へ投げたりして出舎させようとしましたが不安なようすです。その間チーキは、運動場で餌を食べたり、なかなか出てこないアコを気にして通路を覗いたりしていました。

 仕方なく、チーキを落ち着かせるために、砥夢を先に出すことにしました。砥夢も雨を気にして少し躊躇しましたが、練習の効果かすぐに出舎しました。

 相変わらずアコが出ようとしないため、清掃で使用する機械のエンジンをかけると、その音に驚いたのか、出る決心がついたのか、ようやく出舎しました。その後はいつもと変わらないことが分かったらしく思いのほか落ち着いていました。その日の入舎はとくに問題なく、翌日からはスムーズに出舎するようになりました。初めての部屋からどう出てよいのか分からず不安だったようです。 

 部屋替えに伴い、室内展示が砥夢からチーキに変わりました。今後チーキをPCウォールに馴らした後、足の手入れをすすめていく予定です。より近くで、チーキの大きさを改めて感じてください。

写真:室内展示室でのチーキ

〔多摩動物公園北園飼育展示係 武山栄治〕

(2014年01月17日)



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