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フクロギツネの繁殖
 └─2013/11/29

 多摩動物公園コアラ館の小獣展示室でフクロギツネの子が誕生しました。

 フクロギツネもコアラやカンガルーと同じ有袋類で、メスはお腹に袋をもち、とても未熟な状態で生まれた子を袋の中で育てる動物です。よく知られているイヌ科のキツネと間違われることが多いのですが、三角形の大きな耳と、長くて太い尾をもつことから「キツネ」という名前がついたといわれています。

 2013年10月5日、母親キャロットのお腹の袋から小さな小さな子の前肢が出ていて、キャロットがしきりに袋の周りや内側を舐めているようすが見られました。

 そして10月12日には、子の体が袋の外に完全に出ているのが確認できました。子は体がまだ小さくて細く、産毛のような細い毛が生えているだけの弱々しい姿をしていました。

 フクロギツネの妊娠期間は約18日ととても短く、子は生まれてから自力で袋に移動して4〜5か月を母親の袋の中で過ごします。袋から出てくるようになると、2か月ほどは母親の背中に乗って移動し、その後独り立ちします。

 母親キャロットは食いしん坊な性格で、いつも餌の時間になると巣箱から出て待っていたのですが、子が袋から出始めたころから神経質になり、なかなか巣箱から出てこない日が増えました。

 子は袋から出て10日ほど経つと、袋に頭だけを入れ、体は外に出した状態でミルクを飲んでいる姿が頻繁に確認されるようになりました。10日前とは違って、体にはフサフサした灰色の毛が生え揃い、体格もしっかりして、すっかりフクロギツネらしくなっていました。母親の背中に乗るようになったのはその数日後、10月の終わりでした。

 それから約2週間たった今では、親子2頭で一緒に餌を食べるようになり、子の成長の早さにとても驚いています。最近は子が背中に乗らない日もあり、まもなく独り立ちを迎えようとしているのかもしれません。

写真上:袋から体が完全に出たフクロギツネの子ども(2013年10月12日撮影)
写真中:母親の背中にしがみつく子ども(2013年11月03日撮影)
写真下:親子で一緒に餌を食べる(2013年11月14日撮影)

〔多摩動物公園南園飼育展示係 齊藤美和〕

(2013年11月29日)



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