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チョウの蛹は多種多様
 └─2013/11/15

 ご存じの方も多いと思いますが、チョウは卵→幼虫→蛹(さなぎ)→成虫と成長していきます。

 多摩動物公園昆虫生態園の大温室は、一年中チョウが1000匹前後いますので、裏側の飼育室はいつも、チョウの卵と幼虫と蛹で満員状態です。その中で今回は、蛹についてご紹介します。

 チョウの蛹は、幼虫が口から出す糸で落ちないように固定されます。十分に糸を吐けるよう、幼虫には栄養のある葉を与え、さらに糸を張るスペースが確保できるよう、飼育係は日頃から気を配っています。

 また、蛹で冬を越すアゲハ類は、同じ条件下で飼育していても羽化せず、蛹のまま越冬することがあります。このような蛹は、翌年の春まで飼育室の冷蔵庫で大切に保管しておきます。2013年の秋も、たくさんの越冬蛹ができました。

 さて、昆虫園で飼育している約20種類のチョウの蛹は、大きさも形も色もさまざまです。

 変わった形の蛹といえば、ジャコウアゲハとベニモンアゲハでしょうか。正面から見ると、着物を着て髪を結った昔の日本女性に似ているので、「お菊虫」と呼ばれることもあります。

 蛹の色は、種によって黄緑・茶色・薄黄色・金色などがあります。金色に見えるオオゴマダラの蛹は、じつは光の屈折・干渉によって私たちの目に映る見せかけの色で、ちょうどDVDディスクの記録面が金や銀に輝いて見えるのと同じ原理です。実際に羽化したオオゴマダラ成虫は白黒のツートンカラー、残された蛹の抜け殻は半透明で、金色の名残はどこにも見当たりません。

 このオオゴマダラをはじめ、金色や銀色に輝く部分がある蛹は、クリスマス限定展示に登場する予定です。

 今年はどんな展示になるでしょうか……お楽しみに!

写真上 ナガサキアゲハの蛹
写真中 左:ジャコウアゲハの蛹、右:ベニモンアゲハの蛹
写真下 左:オオゴマダラの蛹、右:羽化後

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係3班〕

(2013年11月15日)



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