環境省はトキの保護と繁殖に取り組んでいますが、一部の施設のみで飼育していると、鳥インフルエンザ等の感染症が一挙に広がり、全滅する可能性があります。そこで、飼育場所を分散するために、2007年12月、多摩動物公園は佐渡トキ保護センターからトキ2ペア(名称は「Kペア」と「ADペア」)をあずかって、非公開の施設で飼育を開始しました。
都立動物園は40年以上にわたって、佐渡トキ保護センターでの飼育繁殖に対して技術協力をおこなってきた実績があります。その経緯もふまえ、野生生物保全センターを擁する多摩動物公園でトキをあずかることになったのです。
その後、2008年には多摩で孵化に成功。佐渡以外では初めての国内繁殖となりました。2009年以降も繁殖が見られていますが、今年(2013年)は、18個産卵し、そのうち7羽孵化。その後5羽が無事に育ちました。
◎2013年の成育実績
No.1:メス。両親はKペア。2013年3月18日産卵、4月17日孵化。Zペアによる自然育雛。
No.2:オス。両親はADペア。2013年3月27日産卵、4月24日孵化。ADペアによる自然育雛。
No.3:メス。両親はADペア。2013年3月29日産卵、4月26日孵化。ADペアによる自然育雛。
No.4:メス。両親はZペア。2013年3月30日産卵、4月27日孵化。Kペアによる自然育雛。
No.5:オス。両親はKペア。2013年3月31日産卵、4月29日孵化。人工育雛。
◎トキのペア
Kペア(佐渡トキ保護センター生まれ)
オスは2001年5月21日、メスは2003年5月9日生まれ
ADペア(佐渡トキ保護センター生まれ)
オスは2004年7月3日、メスは2001年4月24日生まれ
Zペア(佐渡トキ保護センター生まれ)
オスは2008年5月24日、メスは2008年4月17日生まれ
ATペア(佐渡トキ保護センター生まれ)
オスは2011年4月28日、メスは2011年5月26日生まれ
※産卵はビデオモニターにより確認しますが、一部は推定日も含みます。
※上記自然育すうでは、ふ化後1週間程度人の手で育てたヒナを巣に戻し、親または仮親が育てました。
※Kペアが7個、ADペアが4個、Zペアが5個、ATペアが2個の合計18個産卵しています。7羽ふ化したのち、2羽は死亡しました。
◎日本国内のトキ飼育状況(放鳥個体を除く)
2013年8月1日現在。( )内は2013年生まれの数
佐渡トキ保護センター 110羽(18羽)
佐渡トキ野生復帰ステーション 40羽 (9羽)
多摩動物公園 14羽 (5羽)
いしかわ動物園 18羽 (8羽)
出雲市トキ分散飼育センター 12羽 (6羽)
長岡市トキ分散飼育センター 15羽 (4羽)
佐渡市トキふれあい施設 3羽 (0羽)
合計 212羽(50羽)
写真:今年のヒナ(手前)
(2013年08月08日)
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