7月に入り梅雨も明けて夏本番です。近年気温が高い日が多くなり、人だけでなく動物たちも大変です。中には「元々暑いところにいる動物は大丈夫なんじゃないの?」と考える方もいらっしゃると思います。しかし、乾燥した地域に生息するアフリカゾウは、湿度の高い日本の夏が大変苦手です。
ゾウは、暑いと感じているときに、よく耳をパタパタと振ります。多摩動物公園では、飼育係が少しでも涼しく過ごせるようくふうしています。
アフリカゾウの放飼場は、日陰が少なく日光が強烈に当たりますが、ゾウはプールで水浴びし、体から水が蒸発する際の気化熱で体温を少し下げます。汗と同じ原理です。また、飼育係がホースの水を霧状に噴霧して体を濡らしてやることもあります。
プールのほかに泥場を作り、泥浴びができるようにもしています。ゾウは、体に泥を塗ることで直接肌に日射しが当たらないようにします。また、泥に含まれている水分が体のシワに入り込むことで湿度を保ち、紫外線カットや寄生虫を防ぐ効果もあります。
ゾウたちが昼間暑さを和らげる行動を取っている一方で、飼育係は室内の温度があがらないよう、建物のガラス部分に日よけを張っています。さらに、夜間は舎内の一部の窓や扉を開け、空気の逃げ道を作って風通しを良くし、溜まった温かい空気を外へ逃がすために通路に2台の送風機を設置したりして、少しでもゾウたちがゆっくりと睡眠をとれるようにもしています。
暑い日には、ゾウたちの水浴びや泥浴びなどの暑さ対策をぜひ見に来てください。みなさんも暑さには、気を付けてください。
写真上:(左)第1(右)第2放飼場の泥場
写真中:通路に設置した送風機
写真下:泥浴びをするチーキ
〔多摩動物公園北園飼育展示係 武山栄治〕
(2013年07月12日)
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