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インドサイのペアリング
 └─2013/06/28

 多摩動物公園では、オス2頭、メス1頭、合わせて3頭のインドサイを飼育しています。メスの「ナラヤニ」は、2002年に野生から多摩動物公園に来た現在推定12歳の個体で、繁殖適齢期を迎えました。そこで2013年度からオスとのペアリングを始めました。ちなみに相手のオスはナラヤニと一緒に当園に来たこちらも野生由来の現在推定12歳の「ビクラム」です。

 インドサイは基本的には単独性のため、1頭ずつで飼育しています。メスは50〜60日間隔で発情が来るので、そのときにオスとメスを同居させればよいのですが、インドサイのペアリングは、オスとメスが激しくぶつかり合い、とくにメスがオスに追われて怪我をしてしまうことがあるようで、動物園でのペアリングは注意が必要といわれています。
 当園の新しいサイ舎でどのように動物が動くのか、オスのビクラムがメスのナラヤニの前でどのようになるのか想像がつかなかったため、メスの発情が来た5月28日は、閉園後大勢の飼育係の応援のもとでペアリングを実施してみました。

 その結果は、オスとメスが鼻を突き合わせた後、オスが逃げ出すという行動を繰り返し、激しくぶつかり合うようなことにはなりませんでした。
 そこで翌日の29日は開園時間中にペアリングを実施してみましたが、前日同様の状況に終始し、今回のメスの発情に合わせたペアリングはいったん終了しました。オスが逃げ出すというのは想定外で、インドサイの世界にも「草食系男子」っているのかなと思い、他園のインドサイ担当者に聞いたところ、最初はやはりオスが引き気味な感じだったが、数をこなしていくうちに形になってきたということでした。
 また、日本で初めてインドサイの繁殖に成功したのは多摩動物公園だったので、退職した当時の担当者に会ってペアリングのコツを聞いたところ、一言「闘わせろ」とのことでした。

 メスの発情は50〜60日間隔で来るので、今後も定期的にペアリングは実施する予定です。運よく?オスとメスが同じ放飼場に出ていたら、オスのビクラムの応援をよろしくお願いします。ちなみにビクラムはふだんはコアラ館側の放飼場に出ている耳が倒れている個体です(幼少期に野生でトラに襲われたせいといわれています)。なお、次の発情は7月中旬以降になりそうですが、あまりに暑いときなどはペアリングを見送ることもありますのでご了承ください。

写真上:オスとメスの鼻の突き合わせ
写真下:オスが逃げ出す

〔多摩動物公園南園飼育展示係 八坂圭悟〕

(2013年06月28日)



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