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チンパンジーの思春期
 └─2013/02/08

 多摩動物公園チンパンジー舎には、チンパンジー用の「キッズルーム」があります。文字どおりチンパンジーの子どもだけが入ることのできる部屋です。キッズルーム横には「UFO キャッチャー」(枝を使って中の餌を取る遊具)があり、キッズルーム側からも展示場側からも餌を取ることができます。

 現在、子どもと呼べるチンパンジーは、上からアンナ(8歳、メス)ボンボン(7歳、オス)ミカン(7歳、メス)マックス(5歳、オス)ジン(4歳、オス)の5頭です。 

 アンナは2012年に初潮を迎えておとなに近づき、まさに思春期といえます。
 アンナは2012年11月9日午前中まではキッズルームでUFO キャッチャーをしていましたが、午後から急にキッズルームに入らなくなりました。UFO キャッチャーに入っている大好きなブドウをつついたとき、キッズルーム側に落ちたのですが、中には入らず展示場側から手を伸ばして取ろうとし、届かないことがわかるとあきらめてしまいました。午前と午後で急に成長したわけでもなく、何か心境の変化でもあったのでしょうか? 

 また、ボンボンとミカンもこの年齢ならではの行動を見せています。しきりに順位の低いメスや高齢のメスに対し、物を投げつけたり、餌をとるのを邪魔したり、蹴飛ばしたり、からかって逃げたりするのです。このような行動をティージングといいます。傍から見ているとそんなひどいことしなくても、と思ってしまいますが、これも成長過程で必要な行動のようです。おとなになると急に攻撃的な行動もなくなるので、精神面の成長も必要なのでしょう。

 アンナがキッズルームに入らなくなったため、現在はマックスとジンの2頭が独占しています。体の大きさを考えるとボンボンもミカンもそろそろ入らなくなりそうです。おとなへの階段を上るのはいつになるでしょうか? 

写真上:展示場の「アンナ」
写真下:キッズルームに入ろうとしない

〔多摩動物公園北園飼育展示係 廣瀬格〕

(2013年02月08日)



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