多摩動物公園で、チーターが5頭生まれました。そのうち2頭は世界的に見ても非常に珍しい「
キングチーター」(
※1)です(右から1番目と3番目)。
チーターを飼育下で繁殖させるのは難しく、日本国内では、飼育している動物園館で短期ブリーディングローン(
※2)などにより協力しあい、繁殖を推進してきました。
その成果が実を結び、当園では過去5年の間にチーターが6回繁殖しました。今後、赤ちゃんの成長のようすをしっかり観察し、追って公開する予定です。公開日等は別途お知らせします。
◎誕生したチーター
誕生日 2013年1月6日(日)
頭数 5頭
性別 オス4頭、メス1頭
(うち、キングチーターはオス1頭、メス1頭)
◎両親
母親 スミレ 9歳
(2003年6月5日 南アフリカ共和国生まれ)
父親 カイ 4歳
(2008年3月5日 多摩動物公園生まれ)
◎経過
2013年1月6日(日)、スミレ(メス)とカイ(オス)に5頭の赤ちゃんが誕生しました。そのうち2頭はキングチーターでした。今回3回目の出産を迎えるスミレは、現在落ち着いて赤ちゃんの世話をしています。赤ちゃん5頭はすくすく育っており、1月16日(水)に初めて体重の測定をしたところ、900g~1100gでしたが30日(水)には1500g~1800gになり順調に成長しています。
◎当園のキングチーター誕生について
特徴的な模様をもつキングチーターは、劣性遺伝子によって生じ、両親双方からその遺伝子を受け継がないと誕生しません。しかし当園での誕生は、2011年6月11日に今回と同じ2頭の間に生まれたメスのナデシコ(
ニュースはこちら)、2012年10月10日にキキョウとカンガの間に生まれたオスのイブキ(
ニュースはこちら)に続き、これで3例目となります。
このことについて、野生のキングチーターの数少ない確認例が南アフリカにあること、そして当園で飼育しているチーターは南アフリカから来園した個体またはその子であることから、当園にやってきたチーターの中に偶然、この劣性遺伝子を隠し持った個体が複数いたと考えられます。
血統図はこちら(PDF、16KB)
なお、キングチーターは当園以外での国内誕生例はなく、国内でキングチーターを飼育しているのも当園だけです。
※1 キングチーターについて
通常のチーターの体には独特の斑点模様がありますが、キングチーターはその斑点がつながり、帯状となるのが特徴です。発見当初は別種とされていましたが、遺伝的な研究によって両者は同種と判明し、キングチーターはチーターの変異個体であることが明らかになりました。
キングチーターの体の模様に関する遺伝子は劣性遺伝子であり、両親双方からその遺伝子を受け継いで初めて2つの劣性遺伝子が対になり(ホモ接合)、特徴のある模様が現れます。世界では野生個体と飼育個体を合わせても、数十頭ほどしかいないという報告もあります。
※2 ブリーディングローンについて
繁殖を目的とした動物の貸借契約のこと。動物園間で個体を移動させることによって、新たなペア形成を促し、繁殖に寄与することを目的としています。
◎当園の飼育状況
今回生まれた5頭を含め、当園のチーターは、総勢22頭(オス13、メス9)となりました。
<過去のキングチーター誕生ニュース>
・
1例目「ナデシコ」誕生時(2011年7月28日発表)
・
2例目「イブキ」誕生時(2012年11月1日発表)
<東京ズーネットBBの動画から>
・「
キングチーター誕生!」(2011年8月撮影)
・「
運動場のキングチーター」(2012年3月撮影)
(2013年01月31日)