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アフリカゾウ「アコ」のその後
 └─2012/10/26

 多摩動物公園のメスのアフリカゾウ「アコ」(47歳)が、3年8か月ぶりに放飼場へ出るようになったことは以前にお知らせしましたが、あれから5か月が経過しました。今回はこれまでの経過と現状について報告します。

「アフリカゾウの『アコ』、第1放飼場へ」(2012年05月11日)

 アコは、放飼場に出るようになってから1週間くらいは放飼場の部屋に近い場所をぐるぐると一定の速度で歩き回り、歩きながら餌を少量だけ食べるため、食欲も安定しませんでした。通常は止まってする排便も歩きながらするため、糞が転々と落ちていて、明らかに落ち着いていないことがわかります。しばらくは、健康状態を観察しながら、アコが環境に慣れてくれるのを待ちました。

 2週間が過ぎると、アコは止まって餌を食べたり、プールへ水浴びに行ったり、土山で泥浴びをしたり、少しずつ環境に慣れ、放飼場内を探索するようにもなりました。

 そこでアコが気分転換できるように、高いところに餌を吊るしたり、広範囲に餌を置いたり、さらには通常室内でおこなっているトレーニングを外でもおこなったりして、アコが少しでも退屈しないように心がけました。

 その結果、放飼場に出たアコは、まずいろいろな場所に置かれた餌を食べて歩くようになり、やがて餌がなくても確認して歩くようになりました。また水浴びや泥浴びを盛んにおこない、目つきも穏やかになってきました。

 ところが、アコが日に日に落ち着きを取り戻しひと安心と思われた9月半ば、再びアコが落ち着きなく歩きまわり始めました。

 余裕のできたアコが、隣の放飼場にいるチーキを意識したためと思われます。きっかけはわかりませんが、その日モート越しに鼻を延ばしてきたチーキに対し、アコも鼻を延ばし低い声で鳴いたのです。見た目には大した騒ぎではなかったのですが、もともとアコはチーキに対してそれほど友好的ではなかったこともあり、アコにとっては落ち着きをなくす大きな問題だったようです。

 アコには神経質な部分があり、ちょっとしたことで落ち着きをなくすことは今までもあったので、経過を観察していると、1週間ぐらいで通常に戻り、再び放飼場内の探索行動や泥浴びを頻繁におこなうようになりました。

 今でもまだ工事や飛行機の音に動揺することはありますが、平静さを取り戻すのがだいぶ早くなっているようです。まだ完全な状態とはいえませんが、アコなりにいろいろな環境に慣れようとしています。みなさんもぜひそんなアコを応援してください。

写真:室外でトレーニング中の「アコ」

〔多摩動物公園北園飼育展示係 藤本卓也〕

(2012年10月26日)



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