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チーター親子のその後
 └─2012/06/15

 2011年4月と6月に生まれたチーターの子どもたちが、無事に1歳を迎えました。今回はこの2組のチーター親子の話です。

 4月に生まれたギーマ、クルミ、リラは現在1歳2か月です。チーターの育児期間は14〜16か月といわれているので、そろそろ親離れの時期です。3頭の母親キキョウは、今まで2度出産を経験していますが、どちらのときも子が1歳2か月のころに仔離れをして、次の繁殖の準備をしていました。係員もこの記録をもとに心づもりをしていましたが、今回キキョウは子に対する執着が強く、なかなか離れようとしません。1歳になったころ、親子を別居させ、独り立ちへの準備を始めたのですが、2か月経った現在でも、キキョウは頻繁に鳴いて子を呼び集めようとします。しかし子どもたちは、母親が懸命に呼んでも応えようとはせず、部屋で横になって過ごしています。さすがに、母親が1頭で出てしまうと子らも落ち着かなくなるようですが、現状では親離れよりも子離れのほうに時間がかかりそうです。

 6月生まれのキリ、アイリス、ステラ、ナデシコも1歳になりました。先に生まれたキキョウの子と同様、これから親子分けの準備を始めるところです。

 母親のスミレはよく子の面倒を見ていますが、今年の4月に少し困ったことが起きました。ある夕方「ナデシコがケガをしている」という連絡が入り確認に向かうと、鼻や口から出血し、1頭で離れているナデシコの姿がありました。子が1歳になる前からスミレが育児をやめてしまったのかと思いましたが、ほかの子とは一緒に過ごしているようです。翌日から運動場に出すのを中止し、親子を分けて室内でようすを見ることにしましたが、スミレは子を気にして落ち着かなくなってしまいました。そこでまた同居を試みると、ふだんなら餌を独り占めしようとするスミレが、ナデシコも含め、1頭ずつ子のもとへ餌を運んでいます。

 これなら一緒にいられるだろうと運動場に出すと、スミレは今度はアイリスを追いまわし始めました。アイリスは悲鳴をあげて逃げるものの、簡単に追いつかれてしまいました。スミレは子を押し倒し、ていねいにグルーミングを始めました。どうやらスミレは追いかけっこをしているつもりのようです。この行動はほかの子どもに対しても見られ、ハードな遊びに最初は驚いていた子らも今では慣れ、「追いかけっこ」として成立しています。

 親子で過ごせる時間も残り少なくなってきました。多摩動物公園へお越しの際には、キキョウの子らの独り立ちと、スミレ親子のハードな「追いかけっこ」をごらんください。

写真上:キキョウの3頭の子
写真下:スミレと4頭の子

〔多摩動物公園北園飼育展示係 野本寛二〕

(2012年06月15日)



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