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シフゾウのお休みどころ
 └─2012/06/08

 「四不像」(シフゾウ)という動物をご存じでしょうか? 

 野生ではすでに絶滅してしまった中国原産の動物です。「その容姿の特徴は、オスだけに備わる角は『鹿』、顔立ちは『馬』、体つきは『驢馬』(ロバ)、蹄は『牛』の四種の動物を連想させるのにそのいずれでもない」という意味が名前「四不像」の由来になっています。

 シカのなかまに属し、成獣の体重はおよそ150〜200キログラムと大型で、本来は湿地で生活していたと考えられています。足裏には意外にもやわらかそうな部分が多く見られるのですが、本来の生息環境ではこの足裏でも大丈夫だったのでしょう。

 ところが、シフゾウの放飼場では、園内で出た残土を一部利用していて、その中に混ざっている小石がシフゾウの足裏を刺激することがあるようです。そのため、目下、毎日の作業の中で地道に小石を取り除き、より良い飼育環境を目指しているところです。 

 そのような状況の中でもシフゾウが快適に過ごせるように、川砂をサークル状に厚く敷いた「お休みどころ」を、全頭分作ってみました。

 シフゾウは臆病な面があり、警戒されてしまうかと心配しましたが、メスの「エリー」がすぐに使い始め、昼過ぎまでには「カオル」以外の4頭が休んでいました。

 「カオル」は仲間から離れて休む傾向にあったので、翌朝「お休みどころ」をもう一つ、少し離れた場所に用意したところ気に入ってくれました。

 このニュースをお届けするころには、短い夏毛に着替えてスッキリとした姿のシフゾウたちが、「お休みどころ」でまったりとくつろぐようすをごらんいただけることでしょう。

写真上:「お休みどころ」で気持ちよさそうなオスのアオバ
写真中:川砂を敷いた「お休みどころ」のナターシャ(メス)
写真下:全頭分用意された「お休みどころ」

〔多摩動物公園南園飼育展示係 中尾理幸〕

(2012年06月08日)



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