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休園日のライオンたち
 └─2012/03/30

 多摩動物公園では、基本的に水曜日が休園日ですが、当然お客さんが園内のようすを知ることはできません。そこで休園日のライオンたちについて紹介しましょう。

 多摩動物公園では21頭のライオンを飼育しています。野生のライオンの群れは、血のつながりのある数頭のオスと多数のメスで構成されています。多摩動物公園でも野生に近い状況で飼育し、すべての個体に血のつながりがあります。

 その中にすでに19歳になっている、1992年生まれの「ウメ」というメスライオンがいます。ライオン園で公開されている血族のいわば原点となる個体です。しかし年を重ね、衰えが目立ってきたことなどもあり、2011年末から来園者の方から見えるところには登場していません。今は、天気のいい日にライオン舎横の運動場で日向ぼっこをしたり、のんびり過ごしているせいか、以前に比べて穏やかな顔つきになりました。

 しかし、これだけでは運動不足になってしまいます。そこで休園日には、公開しているころ折り合いのよかった「プンバ」「ナラ」「サラビ」という姉妹(15歳)と一緒にライオン園に出しています。4頭とものびのびとライオン園内を散策して思い思いの行動をとっていますが、落ち着くと並んで休んでいることが多く、広い運動場なのに集まって過ごしている姿を見ると、改めて群れの大切さを実感します。

 飼育下でのライオンの平均寿命は20年程度といわれていますが、まだまだ元気なウメには、これからのんびり過ごしてもらいたいと考えています。

 さて、ライオン園内を元気に遊びまわっているのは2010年に生まれた子どもたち(オス3頭メス4頭)です。

 すくすくと成長し、ほとんど大人と変わらない体格になってきましたが、それに伴いオスは繁殖が可能な年齢を迎えます。安定した群れを維持するためには計画的な繁殖が必要であり、そのために大人のオスにはパイプカット(精管結紮手術)という処置を施しています。3頭いるオスの子のうちの2頭に繁殖行動が見られ始めたため、2012年3月半ばの休園日にこの処置をおこないました。2頭ともに術後の経過は良好で、早い段階に再び群れに戻り、元気な姿を見せてくれると思います。

写真上:一緒に休む「ウメ」(手前)と「サラビ」
写真下:「クルーガー」の手術のようす

〔多摩動物公園北園飼育展示係 佐々木悠太〕

(2012年03月30日)



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