ニュース
グレビーシマウマ「ノバータ」の日常
 └─2012/03/02

 多摩動物公園の休園日は、何事もなければ一日動物たちはのんびり過ごしています。しかし、たいていは工事関係や樹木伐採などの業者さんの車両が出入りするため、開園しているときよりも騒がしい日も多いくらいです。

 2012年1月のある休園日、昨年9月の台風15号の影響による倒木や折れ枝を撤去する作業がおこなわれました。今回はシマウマ小放飼場前とその周辺で、朝から高所作業車が入りました。

 この放飼場にはオスのグレビーシマウマ「ノバータ」を出しています。シマウマは臆病で神経質な動物なのでノバータは大丈夫かな? と思ったのですが、私たちの心配をよそに、作業車がアームを伸ばしチェーンソーで枝を伐る音が鳴り響く中、ノバータは平気で餌を食べ、のんびりと歩き回り、ときにはあくびをしながらふだん通りに過ごしていました。以前もう1頭のオス「アンディ」を小放飼場に出していたときに伐採があり、そのときはアンディがパニックに陥って、あわてて舎内に収容したことがありました。それがシマウマの本来の反応なのでしょうが、ノバータはどうも違いました。

 ノバータは1990年7月13日、旧チェコスロバキアの動物園生まれで今年22歳です。1歳のときに来園して以来21年間多摩のサバンナでくらしているおじいさんシマウマです。来園当初の飼育担当者によると、当時からのんびりした人懐っこい性格で、柵に身体を寄せてきては触ってもらうことをいつも楽しみにしていて、それは今でも変わりません。

 小放飼場はお客さんとの距離が近く、子どもたちもノバータの姿を見つけると大勢で名前を叫んでいることがよくあります。そんなときでもノバータは、周りのことを気にしたり動じることもなく、天気が良い日などは立ったまままどろんだり、座って日向ぼっこしたりと、人間のお年寄りが縁側でのんびりとしているように過ごしています。

 グレビーシマウマの平均寿命は20歳前後といわれています。すでに20歳を超えたノバータがこれから先何年生きるかは分かりません。しかし、まだまだ食欲は旺盛ですし、若いオスのアンディがメスたちを追い回している声を聞くと落ち着かなくなり、若い者には負けないとばかりに大声を上げています。当園のシマウマ長寿記録は24歳。まだまだ元気なノバータは記録を更新するかもしれません。これからも、ノバータのことを温かく見守って下さい。

写真:のんびりくつろぐ「ノバータ」 

〔多摩動物公園北園飼育展示係 横田利明〕

(2012年03月02日)



ページトップへ