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チーター「キキョウ」の3度目の出産
 └─2011/07/15

 2011年4月14日、多摩動物公園のチーター舎で3頭の子どもが生まれました。母親は「キキョウ」で、2008、2009年に続き3度目の出産で父親の「カンガ」は、今回が初めての繁殖経験となりました。

 2頭の交尾が確認されたのは2011年1月です。当時のキキョウは、2009年に産んだ子どもを親離れさせるための「親子わけ」を済ませたばかりでした。

 カンガは、兄妹間での繁殖を避けるため、いっしょに生まれた「コリナ」と「兄妹わけ」をしたところでした。

 チーターの発情は一定の周期でくるといわれていますが、子育て中に発情はきません。しかし、子が親離れしたすぐあとにくる「発情回帰」の際にペアリングをおこなえば、出産に結びつきやすいと考えられています。

 チーターはほかのネコ科と同様、単独生活をしています。オスは自分のなわばりの中で発情したメスのにおいを嗅ぎつけると、大きな声で鳴くようになります。飼育下ではオスのこのような反応を見て、メスとのペアリングのタイミングを決めるのですが、今回はひとつ困ったことがありました。

 初めて父親となったカンガは、じつは自分の母親や兄妹を見ると興奮してしまい、発情を嗅ぎつけたときと同様の動きをしてしまうのです。当時カンガは2歳になったばかり。チーターの2歳は、体はもう大人なのですが、どうもまだ家族が恋しくてたまらなかったように見えました。

 ペアリングをおこなったときも、内心「また家族に反応しているだけだったらどうしよう」と心配でしたが、そこはキキョウがベテランぶりを発揮し、うまくカンガをリードして交尾に至りました。兄妹わけからペアリングまで、毎日のように室内外でけたたましい声で鳴くカンガのようすには驚きましたが。

 現在子どもたちは生後3か月になり、体重も5キログラムを超えました。体調を崩しやすいため、天気のいい日の午前中のみの展示ですが、ぜひ小さなチーターたちに会いにきてください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 野本寛二〕

(2011年07月15日)



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