ニュース
シロテテナガザル、森の忍者の登場
 └─2011/06/10

 多摩動物公園にシロテテナガザル2頭(メスの「ミツ」4歳とオスの「テテ」3歳)が来園し、アジア園オランウータン舎に入りました。

 テナガザルは長い腕で枝などにぶらさがり、振り子のような動きで移動しますが、来園した2頭も広い運動場を縦横無尽に動き回っています。また、シロテテナガザルは、手足の先が手袋や靴下をつけたように白いこと、顔に白い縁取りがあることなどが特徴の一つです。

 ミツは2010年末に福井県鯖江市西山動物園から、テテは2011年初めに高知県立のいち動物公園から来園し、2011年4月27日に運動場にデビューしました。

 デビューに向けて、運動場に小さめのケージを置き、日中はその中で過ごさせて1か月間環境に慣れさせました。小さめのケージに戸惑っていたのか、最初は隣のヨーロッパオオカミの声に跳びあがって驚くほどビクビクしていた2頭ですが、今はまるで「別人」です!

 ひとたび運動場に慣れると行動範囲が一気に広がり、動きも活発になりました。とくにやんちゃなテテは、腕による移動だけでなく、ジャンプ力でも驚かされます。隣のオランウータンに比べると俊敏さが際立ち、まるで忍者のようです。また、ミツは、食いしん坊ぶりを発揮し、雑草をせっせと食べています。

 野生で樹上生活をしているから地面にはめったに降りないだろうと予想していましたが、地上にいることも多く、地上を横っ跳びしながら走る姿はかわいらしく見えます。また、枝などに座って休むといわれるテナガザルですが、晴れた日には、板の上に寝転がって休んでいることもあります。

 展示も軌道に乗った矢先、問題が発生しました。寝室へ戻そうとしたところ、ミツはすぐ戻ったものの、テテが寝室への通路に入ってくれません。運動場内でテテと飼育係の追いかけっこの後、やっと戻ってくれました。悪びれたようすもないテテは、飼育係とのやり取りを楽しんでいたのかもしれません。

 2頭ともまだ子どもで、成獣となる8歳までまだ4~5年かかります。成長につれ、今のテテが発する甘えた声もなくなり、テナガザル特有のデュエットが聞こえてくることでしょう。テナガザルの成獣は、ペアのきずなを深めるため、または縄張りを主張するために、オスとメスが鳴き交わすのです。仲のよい2頭のかわいらしい姿を、多摩動物公園でぜひごらんください。

写真上:小さめのケージで訓練中
写真下:運動場で過ごしているテテ(手前の黒色)とミツ

〔多摩動物公園南園飼育展示係 徳田雪絵〕

(2011年06月10日)



ページトップへ