2010年7月7日に多摩動物公園で生まれたアムールトラの子ケイスケ、マオ、アイの3頭は、たくましく成長しています(誕生のニュースは
こちら)。
生まれたときは1キログラムほどしかなかった体重が、8月10日には4キロ、9月1日6キロ、10月8日には10キログラム、最後に測った11月2日には15キログラムを超えました。12月初め現在の体重は、20キロ近くあるかもしれません。9月下旬ごろから、馬肉や鶏頭を盛んに食べるようになり一気に大きくなった印象です。
母親のシズカは、初産ながら、余裕のある子育てを見せてくれましたが、子どもたちがしっかりしてくるとともに持ち前のやんちゃぶりを取り戻しました。
気分転換にとダンボール箱におやつを入れた遊具や、直径30センチメートル高さ1メートルの大きなガス管に麻袋を巻いた遊具をぶらさげると、激しい破壊活動を展開するので、子どもたちは部屋の隅で怯えていました。
最近は子どもたちもダンボール箱におやつが入っていることを学んだらしく、シズカがはたき落としたダンボールに果敢に喰らいついて行くこともありますが、お母さんに破壊スイッチが入るとドン引きして部屋の隅でじっとしてしまいます。「かわいそう」と言われることもありますが、子どもたちもシズカのたくましい姿を見て同じように育って欲しいと思っています。
子どもたちの個性はさまざまです。オスのケイスケは穏やかな性格です。ケイスケだけは体重測定のとき、ほとんど抵抗することなく捕まえることができました。メス2頭が遊んでいても、一頭で昼寝をしていることが多くのんびりしています。お父さんのリングに、性格が似ているようです。
メスのアイは積極的な性格です。身体能力も高いようで、室内のコンクリート台に最初に乗れるようになりました。台は入口の階段から1メートル以上離れていますが、10月下旬には飛び乗れるようになっていたのには驚きました。
もう一頭のメス、マオはアイと気が合うようでよく絡み合って遊んでいます。マオはとても激しい気性の持ち主です。マオだけは体重測定の際に激しく抵抗し、押さえるのに苦労しました。餌のときには抱え込んで「ガーッ!ガーッ!」と激しく威嚇し、他の個体を寄せ付けません。そのくせ運動神経はイマイチなようで、部屋の台にはいつまでも上がることができませんでした。
個性豊かな母子が元気一杯に遊び回る姿をぜひ一度見に来てください。
写真上:生後1か月すぎの(左から)マオ、ケイスケ、アイ
写真中:生後4か月ごろ
写真下:母親シズカと一緒の3頭
〔多摩動物公園南園飼育展示係 熊谷岳〕
(2010年12月03日)