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梅雨のマレーバク
 └─2010/07/09

 梅雨です。毎日、じめじめとまとわりつく湿気が不快な季節です。東京は、例年の梅雨と違い、南国チックな雨の降り方をし、これは温暖化の影響だろうかと考えてしまいます。
 人間にとっては不快な季節ですが、マレーバクにとってはそうでもないようです。マレーバクと水が密接な関係にあるのはご存じの方も多いでしょう。野生では、東南アジアの熱帯雨林に生息しています。その中でもとくに水辺を好み、泳ぎが得意で、天敵に襲われると水の中に逃げ込むといわれています。また、水に潜り水草を食べるともいわれています。

 多摩動物公園では、晴れた日は、一日中寝て過ごしていることが多い動物です。来園者のみなさんには、広い放飼場の隅で寝ている姿ばかりをお見せし、何か良い方法はないかと悩む日々で、放飼場に餌をまいたりしてみますが、あまり効果がないのが現状です。

 しかし、今の季節はマレーバクを見るには絶好の時季です。マレーバクが好きな水が空から降ることが多いので、ふだんとは違うマレーバクの姿をごらんになれる機会が多くなります。
 雨が降ると、元気に放飼場を歩きまわります。放飼場の草が伸びるときでもあり、新しい葉を食べている姿もよく見られます。ときには、雨に興奮したのか走り回ることもあります。寝ている姿しかごらんになっていない方は、マレーバクってこんなに速く走れるのかと思われることでしょう。

 これからの暑い晴れた日に、マレーバクが寝てばかりいると「マレーバクのマレーってマレーシア?」「暑いところの動物でしょ?」「なんで寝てばかりいて出てこないの?」なんて声が聞こえてきます。
 じつは、暑いのは苦手なのです。野生では、うっそうとしたジャングルの中の直射日光が当たらないような環境でくらしていて、気温もそれほど高くはないと思われます。
 マレーバクの体毛は短く、1センチメートル程度しかありませんので、直射日光が当たると地肌に届き、日焼けをして皮がむけてしまうほどです。

 やはり、マレーバクを見るには雨の日です。雨中に立つマレーバクはなかなか絵になります。
 それから、もう一つ、8月の土・日曜日とお盆期間の金曜日に、開園時間を午後8時まで延長する、サマーナイト@TamaZooが開催されます。マレーバクも夜間に見られます。あの保護色と呼ばれている白黒のツートンカラーが、暗がりの中でどのように見えるのか。暗がりに立つマレーバク、こちらもぜひごらんください。

・サマーナイト@TamaZooについて詳しくはこちら
2007年のマレーバク誕生ニュース(動画)

写真:雨中に立つオスのスリスク(奥にペアリング中のメス・リザ)

〔多摩動物公園南園飼育展示係 生駒正和〕

(2010年07月09日)



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